次世代型ロボットの性能を高める新機構モーターを考案

Image credit: Erez Krimsky

スタンフォード大学の研究チームは、バネを用いた新しいタイプのアクチュエーターを開発し、それを利用して動的な動きをより効率的に行うことができる電気モーターを考案した。この電気モーターは、一般的な電気モーターよりも大幅に少ないエネルギーで、さまざまなタスクを達成する。研究成果は、『Science Robotics』誌に2024年3月20日付で公開されている。

電動義肢や自立型ロボットなど、ますます複雑でダイナミックなタスクの実行が必要とされる機会が増えている。しかし、一般的な電気モーターは、コンプレッサーを回したり、運転やベルトコンベアーを動かしたりといった、一定の継続した動きに対応して設計されている。

研究チームが開発したアクチュエーターは、エネルギーを使わずに力を生み出すバネの特性を利用している。バネは引き延ばすと抵抗し、放すと元の長さに戻ろうとする。アクチュエーターが重い物体を降ろすときにバネが伸びるように設計すれば、モーターの負荷を軽減することが可能だ。また、バネを伸ばした状態で固定すれば、そのエネルギーが蓄積され、後で別の作業でモーターをアシストすることができる。

バネの伸長と解放を迅速かつ効率的に行う鍵となるのは、電気接着クラッチだ。2つのクラッチがゴム製のバネを挟んだ構造をしており、1つのクラッチはバネをジョイントに接続してモーターをアシストし、もう1つはバネを伸ばした状態で固定する。

それぞれのクラッチは2枚の電極で構成されている。1つの電極はバネに、もう1つの電極はフレームまたはモーターに取り付けられている。クラッチはアクティブではない状態では滑らかにスライドしバネはそのままだ。電極のどちらか一方に大きな電圧をかけると、カチッという音とともに2枚の電極は引き寄せられて接着し、クラッチが機能する。バネをクラッチから解放する際には、電圧をゼロにすればよい。

この手法は小型/軽量で、エネルギー効率に優れ、素早くオン/オフすることが可能だ。複数のクラッチ付きのバネを電気モーターに接続することができ、それぞれを制御できる。研究チームは、このクラッチ付きのバネを6個搭載したアクチュエーターを作製した。急加速や負荷の変化、滑らかで安定した動きなど、難しい動きの動作試験を実施したところ、すべての動作において標準的な電気モーターよりも少ない電力消費量でタスクをこなした。電力消費削減率は少ないもので50%、多いもので97%に達した。

研究チームは、「頻繁に充電する必要がないため、1日中稼働するロボットや、義肢装具や外骨格のような補助装具への影響は大きいでしょう」と述べている。

関連情報

New, efficient motor alternative for next-gen robotics | Stanford News
Elastic energy-recycling actuators for efficient robots | Science Robotics

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