- 2024-5-20
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- 2024世界内燃機関大会, TÜV SÜD(テュフズード), Weichai Power, ディーゼルエンジン, 中国自動車技術研究センター, 低抵抗摩擦低減技術, 実用新案特許, 混合流加圧, 発明特許, 高効率燃料噴射, 高熱効率エンジン, 高膨張燃焼
ディーゼルエンジンの開発・製造を行う中国のWeichai Powerは2024年4月20日、天津で開幕した「2024世界内燃機関大会」において、世界で初めて熱効率53.09%を達成した、ディーゼルエンジンを発表した。
Weichai Powerは、2015年から高熱効率エンジン研究チームを組織し、国内外の研究者や産学パートナーと協力して最先端の技術研究を進めてきた。2020年9月16日には車体熱効率50.23%という記録的なディーゼルエンジンを発表し、重要なマイルストーンを達成。さらに2022年1月8日にはエンジンの熱効率を51.09%まで高め、2022年11月20日には熱効率52.28%を達成した。
これらの成果を踏まえ、研究チームは今回、燃焼、吸気、燃料供給、摩擦低減という4つの重要なシステムをさらに改良。高膨張燃焼、混合流加圧、高効率燃料噴射、低抵抗摩擦低減技術の開発に成功した。各段階で0.1%ずつ熱効率を向上させ、世界で初めて熱効率53%の壁を突破したのだ。これは、人間が100メートル走で9秒を切るのに匹敵する快挙だという。
この世界新記録は、国際的な第三者認証機関であるドイツのTÜV SÜD(テュフズード)と、中国の内燃機関向け専門試験機関である、中国自動車技術研究センターによって正式に認められ、両機関はWeichai Powerに対して製品試験報告書と証明書を発行した。また、この研究開発の過程で、研究チームは176件の発明特許と68件の実用新案特許を取得している。
中国のディーゼルエンジン保有台数の現在の推定に基づくと、熱効率を45~46%から53%にすることで、ディーゼルエンジンの経済性が約14%向上すると見込める。これは、年間約3100万tの燃料節約と、約9700万tの炭素排出削減に相当する。年間25万kmを走行する大型トラクターの場合、この改善によって、毎年およそ1万2000Lのディーゼル燃料を節約できる計算だ。