- 2024-6-13
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- 3Dマップ, AIアルゴリズム, Google, Jeff Lichtman, Science, コネクトミクス, シナプス, ハーバード大学, ヒト側頭皮質, 学術, 画像データ, 神経系接続, 脳組織, 電子顕微鏡イメージング技術
ハーバード大学とGoogleの研究チームは、細胞とそのネットワークを鮮明に示す、これまでで最大のヒトの脳の3Dマップ化に成功した。3D化された脳組織は1mm3とわずか米粒半分ほどの大きさに過ぎないが、その中には5万7000個の細胞、230mmの血管、1億5000万個のシナプスが含まれている。すべての画像データを合わせると1400テラバイトになるという偉業だ。研究成果は『Science』誌に2024年5月10日付で公開されている。
脳3Dマップ化された脳組織は、てんかん患者由来のヒト側頭皮質だ。研究チームは約10年前から、ハーバード大学の電子顕微鏡イメージング技術とGoogleの最先端のAIアルゴリズムを組み合わせて、ヒトの脳のきわめて複雑な配線を色分けして再構築するプロジェクトに取り組んでいる。今回の研究成果は、その最新の進展だ。
今回の研究では、最大50個ものシナプスが結ばれる強力な軸索のように、これまでに知られていなかった脳構造の詳細も示されている。また、少数の軸索が広範な渦を形成するなど、組織内の珍しい現象も観察している。これらの構造が単に希少なものなのか、てんかん患者由来の脳組織が原因なのかはまだ明らかになっていない。
論文の責任著者であるハーバード大学のJeff Lichtman教授の専門は、神経系接続のマップを研究するコネクトミクスであり、脳の構造を個々の細胞まで網羅したマップの作製を試みている。このような完全マップは、科学者たちがまだほとんど知らない脳の機能や病気について解き明かすことができるだろう。
また、研究チームは誰でも利用できる解析ツールも開発し、オンライン上で構築した3Dマップとともに一般公開している。