- 2022-2-10
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- Advanced Functional Materials, KAIST(韓国科学技術院), ウェアラブル電子デバイス, キム ヨンジン, フェムト秒レーザー, マイクロスーパーキャパシター, 多孔質グラフェンマイクロ電極, 学術, 森林バイオマス, 落ち葉, 蓄電デバイス
KAIST(韓国科学技術院)の研究チームは、フェムト秒レーザーの直接照射により、落ち葉をマイクロスーパーキャパシターに変換する技術を開発した。研究成果は『Advanced Functional Materials』誌に、2021年12月5日付で公開されている。
ウェアラブル電子デバイスの進化には、フレキシブルな蓄電デバイスの発展が不可欠だ。さまざまな蓄電デバイスの中でも、マイクロスーパーキャパシターは高い電力密度、長い寿命、短い充電時間という特徴から関心を集めている。
一方で、電子機器の消費量および使用量の増加やモバイル機器の進化に伴う頻繁な買い替えにより、廃棄される電池が増えていることが新たな課題となっている。廃電池の回収、リサイクル、処理は、安全面や環境面でさまざまな問題を抱えている。
そこで研究チームは、地球上の陸地の約3割を占めている森林から大量に発生する落ち葉に着目した。落ち葉は生分解性と再利用性があるため環境に優しく魅力的な素材だが、放置すると火災や水質汚濁の原因にもなる。
研究チームはこのふたつの問題を同時に解決するために、フェムト秒レーザーを落ち葉に照射することで、葉の表面に高い導電性を有する3次元構造の多孔質グラフェンマイクロ電極を作製する技術を開発した。追加の材料を必要とせず、ワンステップのレーザー照射で自然の落ち葉からマイクロ電極を作製できるという。
さまざまな種類の落ち葉から作製したマイクロ電極は、合成ポリマーを使用した一般的な電極と比べてシート抵抗が低く、優れた面静電容量と容量保持率が得られた。実験では、1枚の葉でできたマイクロスーパーキャパシターだけで、LEDや時計、温度計などを駆動させるのに十分な電力が供給できることが実証されている。
KAISTのキム ヨンジン教授は「落ち葉が生み出す森林バイオマスは手に負えないほど大量です。これを次世代蓄電デバイスに利用できれば、廃棄物資源の再利用が可能になり好循環を確立できます」と述べている。