プロパン冷媒ヒートポンプを産業用洗浄装置に適用し、大幅な省エネと二酸化炭素削減を目指す

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独フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(Fraunhofer ISE)は、2024年6月4日、産業用洗浄装置にプロパン冷媒のヒートポンプを適用し、電力と二酸化炭素(CO2)の使用量を大幅に削減したと発表した。この成果は、プロパン冷媒ヒートポンプの用途を産業プロセスに拡大できることを示した。

このプロジェクトの主眼は、工業用の部品洗浄機を構成するモジュール式の熱管理機能の開発だ。従来、洗浄システムの運転に必要な熱と冷気は、電気的な機構で供給されていた。今回の研究では、自然冷媒プロパンを使用する冷凍回路を、このモジュールに組み込んだかたちだ。

プロジェクトチームは、255gのプロパンで冷凍回路を運転できるよう、ヒートポンプを設計した。この装置は、洗浄機と熱管理モジュールを合わせたシステム全体を、床面積16平方メートル以上の部屋に安全に設置できる規模だ。

この新しいモジュール式機能の一式を洗浄機に組み込んだ結果、洗浄やすすぎに使用する「プロセス水」の加熱と、乾燥用空気の加熱に必要な電力使用量が半減した。また、水の加熱に要する電力を80%削減し、排気を再循環させることで、年間1万リットル以上の真水を節約できる計画だ。

今回開発した熱管理モジュールは、週5日、年間48週間の2交代制の操業形態において、年間で約4800ユーロ(約84万円)のコスト削減と、約1万2600kgのCO2排出量削減につながる。本技術は、同様の温度範囲(50~70℃)で稼働する食堂の大型食器洗浄機などへの応用も期待できるという。

関連情報

Heat Pump with Propane Refrigeration Circuit Developed for Industrial Applications – Fraunhofer ISE

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