小型人工衛星打上げロケットのターボポンプ開発に成功 インターステラテクノロジズ

インターステラテクノロジズは2024年8月23日、開発を進めている小型人工衛星打上げロケット「ZERO」のエンジン用ターボポンプの熱走試験に成功したと発表した。これによって、サブスケールモデルでのターボポンプ開発は完了した。ターボポンプは、ロケットの中で最も開発が難しい要素の一つと言われており、同社は基幹ロケット関連企業以外では国内で唯一、開発技術を保有する会社となった。

ターボポンプは燃焼器に燃料と酸化剤を送るエンジンの心臓部に当たり、ZEROでは燃料ポンプと酸化剤ポンプを一体化させた「一軸式」を採用している。今回の試験で使用したターボポンプはサブスケールモデル(長さ42cm、直径19cm)で、材質は耐熱性に優れたニッケル合金を使用した。

ターボポンプ開発の最終仕上げとなる熱走試験は、タービン駆動に燃焼ガスを用い、ガスジェネレーターと熱交換器を組み合わせたシステム全体の性能を確かめるもので、IHIエアロスペース相生試験場で、2024年7月から8月まで計6回行った。試験の結果、目標の回転数で良好に動作し、エンジンシステムとして成立していることを確認した。

試験と並行して、フライトに向けた開発モデルの設計も完了した。現在は組立工程に入っており、同年冬には同モデルでの試験も計画している。

ZEROエンジン用ターボポンプの設計は2019年から、室蘭工業大学(北海道室蘭市)との共同研究として開始した。2021年からはポンプ製造大手の荏原製作所が加わり、3者による共同開発を進めてきた。

既にターボポンプ以外のガスジェネレーターや燃焼器の単体試験も行っており、今後はこれらを組み合わせたエンジン統合試験を進めていく。

ZEROは小型サイズの衛星を打上げるための小型ロケットで、全長32m、直径2.3メートル。最大800kgの衛星を地球低軌道(LEO)へ打上げる性能を目指している。

関連情報

小型人工衛星打上げロケットZERO、エンジン用ターボポンプ熱走試験に成功しました | インターステラテクノロジズ株式会社 – Interstellar Technologies Inc.

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る