- 2019-7-4
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- 3次元デジタル画像相関技術(DIC), Advanced Science, ECG(Electrocardiogram:心電図), Nanshu Lu, SCG(Seismocardiography:心理心電図), 、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA), ウェアラブルデバイス, テキサス大学オースティン校, ポリフッ化ビニリデン(PVDF), 収縮期間隔(STI), 学術, 電子タトゥー
テキサス大学オースティン校の研究チームは、簡単かつ正確に心臓の健康状態をモニターできるウェアラブルデバイスを開発した。極薄軽量で伸縮性に優れた「電子タトゥー」で、スマートフォンから遠隔操作できるうえ、長期間身につけていても負担を感じないという。研究結果は、2019年5月21日付けの『Advanced Science』で公開されている。
心臓の検査で一般的なものはECG(Electrocardiogram:心電図)で、心臓が脈を打つたびに発生する電気的な活動を記録するものだ。そのほかに心機能の評価方法として、心臓の鼓動に連動した胸部の振動を計測するSCG(Seismocardiography:心理心電図)があり、二つを組み合わせることで、より正確に心臓の健康状態を把握することができる。
ECG用のソフトセンサーはこれまでにもあったが、SCG用のソフトセンサーの開発はほとんど進んでおらず、伸縮性が乏しく、厚く固いセンサーを身につけるしかなかった。
そこで、Nanshu Lu准教授が率いる研究チームは初めて、極薄で伸縮性をもちながら、EGCとSCGを同時に計測できる電子タトゥーを開発した。厚さ28μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と呼ばれる圧電ポリマーを使い、フィラメント状で蛇行したメッシュをベースにSCGセンサーを作製。伸縮性を持たせた金(Au)電極と一緒に医療用テープの上に集積することで、EGCとSCGの同期が可能な電子タトゥーとなった。さらに3次元デジタル画像相関技術(DIC)を取り入れ、胸部の振動マップを作成し、貼り付ける位置を最適化できるようにした。最終的な大きさは63.5×38.1×0.122mm、重さはわずか150mgだ。
この電子タトゥーを使った実験では、心臓の収縮期間隔(STI)と最高/最低血圧との間に強い相関が見られた。電子タトゥーを1枚胸部に貼り付けるだけで、連続的かつ非侵襲的に血圧を見積もることができるようになる。また、従来の心電図検査では、その都度医師のもとに向かう必要があり、検査時間も数分間だけであったが、新しい電子タトゥーは貼り付けたまま何日も過ごすことができるので、常に心臓のモニタリングができるようになる。さらに心臓疾患だけでなく、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)など他の疾患への対応も期待できる。
研究チームは、リアルタイムで心拍を表示したり、データを安全に蓄積できるスマートフォンアプリも開発した。さらに、データ収集とストレージの改良、長期間のワイヤレス駆動にも取り組んでいる。
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