- 2017-7-21
- 技術ニュース, 機械系
- CFD, Microsoft HoloLens, 新菱冷熱工業
新菱冷熱工業は2017年7月20日、気流シミュレーション(CFD)の結果を、装着式ホログラフィックコンピュータ「Microsoft HoloLens」を利用したMR技術により可視化するシステムを開発したと発表した。国内初となるシステムで、CFD気流解析による空気の流れを実際の室内空間で確認できることから、解析結果をより正確に第三者と共有できるようになるという。
CFD技術は顧客への設計提案や、既存施設の温熱環境に関する課題抽出や改善案の検討など、さまざまな場面において活用されている。しかし、CFDの結果を顧客などの第三者に分かりやすく伝えるためには、報告書やプレゼンテーションなどで複雑なCFDの結果を見やすくまとめる必要があり、多くの労力と工夫が必要とされてきた。
これらの課題解決に向け、新菱冷熱工業は日本マイクロソフトが提供するMRデバイスのMicrosoft HoloLensに着目し、国産三次元熱流体解析ソフトウェアの開発・販売などを行うソフトウェアクレイドルと共同で開発を行った。Microsoft HoloLensは、Windows 10を搭載した自己完結型ヘッドマウントディスプレイ方式のホログラフィックコンピュータで、実際の空間に仮想空間を融合できる。ウェアラブル端末単独で稼働するため機動性も高い。
今回の開発では、同社の中央研究所内の施設において、制気口から吹き出す気流の可視化に成功した。本システムは、外部パソコンへの接続が不要なため、Microsoft HoloLensを装着したまま室内空間を移動し、任意のポイントの気流を確認できる。また、データやデバイスの持ち運びも容易なため、CFDの解析結果があれば、あらゆる場所でCFDを可視化できる。
さらに、CFDの結果をMR用に作り込む手間がないため、一般的なCFD技術者であれば誰でも利用可能となる。同社は今後、ソフトウェアクレイドルと共同でMR技術の機能強化を進め、Microsoft HoloLensを使った仮想体験の提案体制を整える予定としている。