電力変換効率24%のハイブリッド型ペロブスカイト太陽電池を開発――韓国科学技術院

韓国科学技術院(KAIST)は2024年10月31日、同大学と延世大学校の研究チームが、可視光域を超える近赤外光を最大限に取り込み、電力変換効率(PCE)が24%という、高効率かつ高安定な有機-無機ハイブリッド太陽電池を開発したと発表した。この効率は、鉛ベースのハイブリッド型ペロブスカイト有機太陽電池の新記録とされる。

既存の鉛系ペロブスカイト太陽電池は、吸収スペクトルが波長850nm以下の可視光領域に限定されているため、全太陽エネルギーの約52%を利用できないという課題があった。この課題を解決するため、研究チームは、有機バルクヘテロ接合(BHJ)とペロブスカイトを組み合わせたハイブリッドデバイスを設計し、近赤外領域まで吸収できる太陽電池を実現した。

新たに開発されたこの太陽電池では、近赤外領域における内部量子効率(IQE)は78%に達し、電流密度(JSC)は4.9 mA/cm2まで向上した。また、このデバイスは高い安定性を備え、極端な湿度条件下でも、最大出力追従で初期効率の80%以上を800時間以上維持する高い安定性を誇る。

この成果は、B3PyMPM [4,6-ビス(3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル)-2-メチルピリミジン]という有機分子から成る極薄のダイポール層(双極子界面層)を導入することで、ペロブスカイトと有機半導体間のエネルギー障壁を低減し、電荷の移動を促進することにより達成された。他の構成要素は、インジウムスズ酸化物(ITO)基板、ペロブスカイト吸収体であるMeO-2PACzベースの自己組織化単分子膜、BHJ界面、バソクプロイン(BCP)バッファ層、銅(Cu)メタルコンタクトである。

ペロブスカイト電池が、機械的/化学的安定性の問題を解決したことで、光学的限界を克服する新たなブレークスルーとなると、研究者らは期待している。

研究成果は、『Advanced Materials』誌2024年9月30日オンライン版に掲載された。

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