中堅・大手では3D CAD導入進むも、中小企業では依然2D CADが主流――機械系エンジニア500人調査

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中堅・大手では3D CAD導入進むも、中小企業では依然2D CADが主流――機械系エンジニア500人調査

ポイント

  • 社員数100人以下では依然、「2次元CAD/CAM」の導入率が約7割
  • シェア1位、2次元CADは「AutoCAD」、3次元CADは「CATIA」、CAEは「ANSYS」
  • ツール/システム導入で一定のメリット感じるも、「設計力低下」「自分で考える能力が低くなる」「システムトラブルで業務が滞る」「特殊な納期調整ができなくなった」の声も
  • 仕事で利用するツール/システムによって「業務効率は変わる」(69.2%)、「今後のキャリアパスに影響」(49.0%)、「自分の市場価値に影響」(38.2%)

 

調査概要

エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」では、製造業の企業で研究・設計・開発系(機械関連)の業務を任されているエンジニア500人を対象に、「仕事で利用するツール/システム」に関するアンケート調査を行いました。

3D CADやCAE、PDM、PLMなど、メーカーで働くエンジニアの業務効率を改善するさまざまなツール/システムが登場してきています。

こうしたツール/システムについて、どれくらいの企業が導入を済ませているのでしょうか。ツール/システムが業務効率やキャリアに与える影響などについてどのように感じているのか、機械系の研究・設計・開発系業務に就くエンジニア500人に意見を求めてみました。

 

調査結果サマリー

社員数100人以下では依然、「2次元CAD/CAM」導入率が約7割

・職場で導入しているツールについて尋ねたところ「2次元CAD/CAM」(52.2%)、「3次元CAD/CAM」(66.6%)、「CAE」(32.0%)、「CAT」(4.2%)、「PDM」(9.8%)、「PLM」(5.6%)、「生産計画・管理」(21.6%)だった。
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・企業規模別に集計すると、従業員数が100人以内の企業では依然として「2次元CAD/CAM」を利用している企業が多く、69.1%が導入していると回答した。中小企業(従業員数300人以下)に絞ると、「2次元CAD/CAM」の導入率が64.5%、「3次元CAD/CAM」の導入率が52.9%で、「2次元CAD/CAM」の導入率の方が高かった。
また、従業員数が増えるに従って、「CAE」「CAT」「PDM」「PLM」「生産計画・管理」の導入率は高くなる傾向があった。

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<従業員数別のツール/システム導入率>

表1

<業種別のツール/システム導入率 ※ 50人未満の業種は掲載せず>

シェア1位、2次元CADは「AutoCAD」、3次元CADは「CATIA」、CAEは「ANSYS」

・2次元CAD/CAMを導入しているとの回答者に具体的なツール/システム名を自由回答形式で聞いたところ、「AutoCAD」(95人)、「MICRO CADAM Helix」(15人)、「CATIA」(13人)、「iCAD/SolidMX」(9人)、「CADSUPER」(6人)、「自社開発」(6人)、「SOLIDWORKS」(5人)、「PTC Creo Parametric(Pro/Engineer)」(4人)だった。若干名だがフリーソフトの「Jw_cad」を導入しているとの回答者もいた。

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・2次元CAD/CAMの導入状況を業種別に見ると、精密機器では「MICRO CADAM Helix」、輸送用機器では「CATIA」の導入が目立った。

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・3次元CAD/CAMの具体的なツール/システム名については、「CATIA」(69人)、「SOLIDWORKS」(47人)、「PTC Creo Parametric(Pro/Engineer)」(37人)、「AutoCAD」(33人)、「NX」(21人)、「iCAD / SolidMX」(7人)、「自社開発」(4人)だった。

 

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・3次元CAD/CAMの導入状況を業種に分けて集計すると、機械では「AutoCAD」、精密機器・電気機器では「SOLIDWORKS」「PTC Creo Parametric(Pro/Engineer)」を導入しているとの回答が多かった。

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・CAEの具体的なツール/システム名については、「ANSYS」(15人)が最も多く、「CATIA」(11人)、「SOLIDWORKS」(8人)、「Nastran」(7人)、「NX」(5人)、「Abaqus」(5人)、「自社開発」(4人)の順。2種類以上のツール/システム名を挙げる回答や、「複数使っている」という回答が目立った。

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ツール/システム導入で一定のメリット感じるも、「設計力低下」「自分で考える能力が低くなる」「システムトラブルで業務が滞る」「特殊な納期調整ができなくなった」の声も

3D CAD、CAE、PDM、PLM、生産計画・管理のツール/システム導入者に、導入してみて感じたメリット/デメリットを尋ねたところ、次のようなコメントが集まった。

【3D CAD】

[メリット]
・デザインレビューの効率化
・生産性の向上、設計意図説明の容易化
・開発精度が高くなり、データを共有することで無駄なデータを作成する必要がない
[デメリット]
・設計力低下
・3Dモデルに頼りすぎで、作ることを分かってない
・2D図面も簡単に作れてしまうため、若いエンジニアが図面の重要性を理解せずに仕事をこなせてしまう
・3次元モデルの入力に工数が、2次元モデルよりかかる。CAD操作が複雑である。コマンドが多い

【CAE】

[メリット]
・検討が各自でできる
・試作が減る
・破壊試験などで、限界をある程度予測して準備ができる
・理論解析するのに素早くできる
・製品設計時のいろんなパラメータのシミュレーションができ、より高品質な製品設計ができる
・作業者の経験と勘に、科学的な裏付けを加えることができる
[デメリット]
・実機試験での差異がある
・検証しきれないことがある
・きちんとした設定のもとに行われていないCAEの結果に引っ張られて、真実が捻じ曲げられる
・得られた答えが妥当なものかどうか判断しきれていない
・実物の現象を自分で考える能力が低くなる
・解析時間が長い条件入力、パターンの決め方次第で結果が変わるため、さまざまな解析をしなくてはならない
・裏付けがない解析結果を信じる人が増えている

【PDM】

[メリット]
・設計効率の改善
・SAPなどを直接使うより使い勝手がいい
・ペーパーレスにスケジュールを守りながら製作の管理が行える
・開発部門だけでなく、他部門からも、図面を閲覧できる
・製造図面、設計ドキュメント等を一元管理でき、検索もしやすい
[デメリット]
・システム上のトラブルが起こると業務が滞るようになった
・システムトラブル時対応に時間がかかる

【PLM】

[メリット]
・一元管理ができる
・設計PQCを実施している暗黙知の形式知化が可能になる
[デメリット]
・操作を覚えるのが大変

【生産計画・管理】

[メリット]
・納入先とのやりとりがスムーズ
・納期管理が楽になり、工期短縮もできた。過剰な在庫も減り、原材料費の削減もできた
・製品の納入漏れやリピート対応が迅速に行えるようになった
・全社員が共通のデータを利用できる
・部品リストの作成および出図が行えるため、全体としての効率が上がった。また、管理システム上で、各種費用も登録しているため、部品の値段がすぐに分かる
[デメリット]
・特殊な納期調整ができなくたった。融通が効かなくなることがある
・部門によってやりたいことが異なるため手間が増える場合がある
・融通が利かないため超特急の生産がややこしい
・本来ならメリットとなるはずの計画管理が、管理項目の達成チェックが目的化し、従来であれば無くても済んだ余計な仕事が増えたり、必ずしも今である必要のないA達成のためにBへの取り組みが疎かになる等の問題が生じている

仕事で利用するツール/システムによって「業務効率は変わる」(69.2%)、「今後のキャリアパスに影響」(49.0%)、「自分の市場価値に影響」(38.2%)

・仕事で利用するツール/システムによって、「業務効率は大きく変わってくる」(69.2%)、「今後のキャリアパス(職務の変遷)に大きな影響を与える」(49.0%)、「自分の市場価値(転職時の評価)に大きな影響を与える」(38.2%)と考えていることが分かった。

・エンジニアとして仕事で利用するツール/システムに対しては、「できるだけ多くの種類を学習・経験してみたい」と考えているのが46.4%、「細かな特徴・機能まで深掘りして使いこなせるようになりたい」と考えているのが52.4%だった。

・「仕事で利用するツール/システムより、属人的な能力・スキルの方が重要だ」と考えているエンジニアは51.4%だった。

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調査概要

調査方法:ネットリサーチ

<スクリーニング調査>
期間:2016年3月18日〜23日
対象:全国のメーカーで働くエンジニア3558名
性別:男性3376名・女性182名

<本調査>
期間:2016年3月23日〜3月28日
対象:研究・設計・開発系(機械関連)の業務に就くエンジニア500名
性別:男性488名・女性12名

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