- 2021-5-22
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- GIGAスクール構想, Marketing Research, インターネット, ライス大学, 児童生徒1人1台コンピュータ, 文部科学省, 高速通信環境
文部科学省は、小中学校における「児童生徒1人1台コンピュータ」と「高速通信環境」による「GIGAスクール構想」を発表している。学校からインターネットにアクセスできる環境を整えた場合、生徒の学習意欲を高める効果があると肯定的な人もいれば、有害なコンテンツにアクセスして問題になると否定的な人もいる。
米ライス大学らの研究チームは、インターネット利用への投資額と生徒の成績についての関係について調査結果を公表した。研究結果は、2020年11月23日付けで『Marketing Research』に掲載されている。
研究チームは、2000年から2014年にかけてテキサス州にある9000校以上の公立学校を対象に、インターネット利用に対する支出、生徒の成績や問題行動についてデータを収集し、それらの因果関係を見積もった。
その調査によると、インターネット利用が増えている学区では、高校の卒業率が上がるだけでなく、SATやACTといった共通テストの成績が高く、大学レベルの上級コースを修了する学生が多いことが分かった。さらに、数学、読解、作文、社会においても成績の向上が見られた。
研究チームはまた、学区のネット環境が生徒にどれだけの経済利益をもたらすか金額ベースで見積もった。年間のインターネット利用費が60万ドル(約6600万)増加すると、学区ごとに約82万~180万ドル(約9000万~2億円)の経済利益が得られることが分かった。
もちろん、プラスの側面ばかりでなく、マイナスの側面も見られる。インターネット利用の増加は、ネットいじめなど問題行動の割合も上げていた。先と同様の見積もりで、問題行動による経済損失は2万5800~5万3440ドル(約280万~590万円)になるという。
興味深いことに、成績の向上も問題行動の増加も、プロバイダーの数から考えて、家庭のインターネット環境が充実している地域に住んでいる生徒ほど、より顕著な傾向を示すという。
全体的に見てインターネット利用への投資は、コストに十分見合った結果をもたらすと言える。ただし、研究チームはマイナスの側面を鑑みて、インターネットの安全講習や危険なサイトのブロックなど、生徒がインターネットを安全に利用するための施策にも投資すべきと提唱している。