ハウジング摩耗を抑制する「クリープ摩耗抑制玉軸受」を開発――ひずみクリープだけでなく連れ回りクリープによる摩耗も抑制 ジェイテクト

ジェイテクトは2019年10月8日、ハイブリッド車や電動車の変速機、エンジン車の無段変速機(CVT)などに使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を開発したと発表した。

軸受のクリープは運転中、内輪が軸に、外輪がハウジングに対してずれてしまう現象だ。クリープが発生すると、軸受とハウジングが擦れ合うことでその双方が摩耗。軸の芯ずれや傾きを引き起こし、ギヤのかみ合い不良による変速機の機能低下や異音などの不具合が発生する。

クリープによる不具合に対し、従来は、軸受の外輪を厚くする、固体潤滑皮膜を用いるなどの対策が採られてきた。しかし、サイズや重量の増大、高コスト化などの課題があり、最適な製品の開発が必要とされていた。

そこで、ジェイテクトは2016年、外輪の外径中央部に円周方向の溝を形成した「新構造のアンチクリープ玉軸受」を開発。「ひずみクリープ」と呼ばれる、軸への一方向荷重を原因とするハウジング摩耗の抑制に貢献していた。

そして今回、この円周溝に加え、外輪全体に特殊皮膜を施したクリープ摩耗抑制玉軸受を開発。「連れ回りクリープ」によるハウジング摩耗に対しても効果のある軸受の開発に成功した。連れ回りクリープは、荷重抜けや軽荷重時に発生し、軸受回転トルクが外輪とハウジングの摩擦トルクを上回ることで生じる。

ジェイテクトによると、この開発品は軽量かつ低価格なため、自動車用だけでなく、クリープによる摩耗が問題となる産業機械などへの応用も可能だという。

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