磁性半導体における、異常ホール効果値の磁化に比例しない振る舞いを発見 理研と東大

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運動量空間の磁気単極子(朱色の球)によって変調を受ける電子の運動の概念図

理化学研究所(理研)は2018年7月21日、東京大学と共同で、「磁性半導体」であるチタン酸ユーロピウム(EuTiO3)の高品質単結晶薄膜を作製し、通常は磁化に比例する異常ホール効果の値が、磁化に伴ってさまざまな値をとることを発見したと発表した。

磁性と伝導の電気的制御が同時にできる磁性半導体は、低消費電力のスピントロニクス素子の候補材料として期待されている。また、磁性体中を流れる電子ホール効果は、磁場のローレンツ力による「正常ホール効果」と磁化による「異常ホール効果」の和となる。電子濃度を容易に制御できる磁性半導体は、異常ホール効果を電気的に制御できることから、例えば異常ホール効果をホール素子として磁気センサーに利用する場合に感度を電気的に変化させられるなど、応用の観点からも注目されている。

運動量空間において「磁気単極子」を創発する「ワイル・ノード」と呼ばれるバンド交差によって、「内因性異常ホール効果」を定量的に説明できることは既に知られている。しかし今回の研究では、反強磁性から外部磁場によって強磁性にユーロピウム(Eu)の磁気モーメントが揃う過程で、異常ホール効果が磁化に比例した値を必ずしも取らないことを発見。そしてその原因が、ゼーマン分裂の僅かな変化によって、ワイル・ノードが創発する磁気単極子のエネルギー位置が変化し、電子の起動を変調するためであることも解明した。

この研究結果は、スピンの向きが揃った電子の運動を左右に振り分ける新たなスピントロニクス機能に結びつくことが期待されるという。

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