- 2023-12-1
- 制御・IT系, 化学・素材系, 技術・スキル市場分析, 機械系, 転職・キャリアアップ, 電気・電子系
- EV, キャリアパス, メイテックネクスト, 修士号, 博士号, 基礎研究, 応用研究, 研究職, 転職支援サービス
この記事では、「研究」の仕事に興味のあるエンジニアの方に向けて、仕事内容や平均年収、転職のポイントなどを紹介します。興味のある方はぜひ記事をご覧ください。
【目次】
研究職とは
研究職は、製品や技術の開発や改良のために、必要な研究をすることが主な仕事です。日常的に広く利用されている製品や技術は、研究のプロセスを経ることで実用化され、私たちに届けられます。
研究職に就くためには、対象となる研究の専門知識や経験が求められるため、畑違いの業界からの転職はハードルが高い職種でもあります。また、研究職に就けたとしても、特定の分野の研究を続けるためには、根気と探求心の持続が求められ、知識や経験だけでは務まらない場合もあります。
研究職は民間企業の研究部署だけでなく、大学の研究室や公的機関の研究所でも必要な職種です。研究の内容には「基礎研究」と「応用研究」があり、主に大学や専門機関が基礎研究を、民間企業が応用研究を担っています。
大学や専門機関に多い基礎研究とは?
基礎研究は、将来役に立つ新たな基礎知識の発見を目的にしています。商業的な意図を持たず、知識の向上を目指した研究であるため、直接利益につながらないことが多く、主に大学の研究室や公的な専門機関が担います。
民間企業が将来的なメリットを見込み、基礎研究に投資をする場合は、どのような分野で活用されるのかを想定して、大学や専門機関と共同で研究をするケースがあります。
企業や会社に多い応用研究とは?
応用研究は、基礎研究を応用して新たな製品や技術を開発することが目的で、主に民間企業が力を入れて事業につなげています。知識の解明が主要な目的となる基礎研究に対し、具体的な社会のニーズを満たすことを重視するのが応用研究になります。応用研究を経て開発した製品や技術は既にニーズがあるため、ビジネスに直結するという特徴があります。
研究職の仕事内容は?
研究職の仕事は、製品や技術の開発に必要な研究に加え、製品化に向けた様々な業務が含まれます。具体的には、研究テーマに関する実験と解析から得られるデータを収集し、分析と検証結果をレポートにまとめるなどです。
仕事をする上で、数物系科学や化学、薬学、工学など研究分野に関する高い知識以外にも、最新情報を収集するスキル、市場ニーズを把握するスキル、専用ツールの取り扱いスキル、コミュニケーションスキルなどが必要になります。また、機密情報が外部に漏れて企業が不利益を被らないよう、高い情報管理能力や倫理観なども求められます。
研究職への転職は難しい?
研究職の求人数は少なく人気があることから、転職は狭き門と言われています。募集人材に求める知識や経験のレベルは高く、大学での研究で得たスキルや能力が必要とされるため、修士号あるいは博士号取得者を採用する傾向が強いのが特徴です。専門知識や経験が少ない人材が採用される確率は、かなり低いと言えます。
20代では将来性を見込まれて採用されることがあっても、30代になればこれまでの実績が重視されるようになり、40代になれば人脈や転職エージェントを利用しなければ、さらに転職は困難なものになります。
以下に、研究職の転職が難しいと言われる理由を3つ挙げて解説します。
求人数が少ない
研究職を募集するのは、民間企業の研究部署、大学の研究室、公的機関の研究所などに限られ、そもそも求人数自体が多くありません。人気のある職種のため、希望者は多く、採用倍率は高くなってしまいます。
新卒や中途にしても、厳しい競争を勝ち抜いて就いた研究職を辞める人は多くありません。思い入れのある分野の研究を続けられるとなれば、余程の理由がない限り定年まで勤めあげるため、中途採用枠はどうしても少なくなります。
異業界への転職が困難
これまでと同じ業界と分野の求人であれば、実績をアピールすることで転職先がスムーズに決まる可能性があります。しかし、求人があったとしても、自分の専門分野であるとは限りません。民間企業の場合、食品、医療、医薬、化学、IT、機械など様々な業界があり、研究職に求める専門知識は多岐に渡ります。異分野への転職となると、さらに難易度が高まることになります。
安定した転職先が見つからない
民間企業の場合、研究期間や結果に厳しいノルマが設定される場合があります。そのような厳しい業務に対し、見合った待遇が得られないのであれば転職をためらうのは当然です。
1日のほとんどを研究部署で過ごし、プロジェクトチーム内でコミュニケーションを取りながら仕事を進めるため、良好な職場環境と人間関係も重要になります。求人数自体が少ない上、働きやすい職場環境と安定した待遇を求めると、さらに転職のハードルは高くなります。
研究職に関する求人の平均年収は?
国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、「学術研究、専門・技術サービス業」の平均年収は521万円となっており、高い専門性が求められることから、全体の平均給与より高い傾向にあります。
化学メーカーでは、長い間続いた新卒至上主義が崩れつつあり、化学関連学科を卒業した第二新卒層から経験豊かなマネジメント層まで、幅広い年代の中途採用を強化する動きが強まっています。自動車業界ではEVシフトに伴い、電池分野の即戦力人材が枯渇状態になっており、年代に関係なく電池分野の経験のある研究人材が求められています。他にも、食品や医療、エレクトロニクス、バイオなど、ビジネス環境の変化に対応するため、あらゆる業界で優秀な研究人材が必要とされています。
エンジニアを専門に転職支援を行うメイテックネクストによると、基礎研究要素が強い求人は、大手企業を中心に職種が限られ、年収の幅は900万~1,200万と高くなります。また、研究寄りか製品開発寄りかによって、役割と成果の時間軸が異なりますので、転職活動の際は、初回提示額からの上がり幅(上がるスピード)も、オファーを受ける時には確認が必要となります。
研究職に関する求人への転職を成功させるポイント
一部の業界では研究職の中途採用が増えているとはいえ、希望通りの研究ができて、働く環境や待遇に満足できる企業への転職は簡単ではありません。そこで必要になるのが、自分のスキルを把握するとともに、転職活動の方向性を定め、企業の情報収集を入念にすることです。さらに、研究職に特化した専門サイトや転職エージェント、これまで育んできた人脈なども活かして活動することが重要になります。
以下に、転職を成功させるために押さえておきたい、特に重要な4つのポイントを紹介します。
ポイント1 転職理由を明確にする
転職したい理由を明確にすることで、次の職場に求めるものが見えてくるため、転職活動をスムーズに進めることができます。転職理由としてよくあるのが、「これまでとは異なる職種や業界でチャレンジしたい」というものです。
研究職以外の職種から、専門性の高い仕事をするために研究職への転職を希望する場合、これまでの経験で培ったスキルや知識を活かせる職場が良いでしょう。例えば、今後の需要拡大が見込まれる半導体や電池分野での経験があれば、新たな事業領域を拡大している化学メーカーへの転職が候補になります。
研究職から、より専門的な知識を増やすために異なる業界の研究職への転職を希望する場合、30代までであればポテンシャルを見て採用されるケースもありますが、40代以上になれば、これまでの実績がより重視されるようになります。現時点での年齢とスキルを考慮した、より現実的な転職先の選択が必要になるでしょう。
ポイント2 これまでの実績とこれからのキャリアパスを明確にする
これまでの経験で得た知識とスキル、実績を整理し、これからどのようなキャリアパスを目指すのかを明確にしましょう。研究内容や成果などを具体的に書き出せば、転職を希望する企業へどのようにアピールすれば効果的なのかが見えてきます。自分に不足している部分も明らかになるため、それがマイナスにならないような戦略を練ることもできます。
転職支援サービスや周りの人の意見を聞いて、客観的なスキルの評価や強みを知ることも重要です。また、今後5年、10年先にどのようなキャリアを築いているのかを想定することで、転職活動の方向性を絞ることができます。現時点の考えだけでなく、将来を見通すことで後悔しない転職につながります。
ポイント3 企業情報を収集する
近年はインターネットを利用し、転職サイトから手軽に多くの求人情報を見ることができます。しかし、転職サイトの情報だけでは、本当の企業の姿を知ることができません。気になる企業があれば、事業内容から製品とサービス、社風などを徹底的に調べてみましょう。
企業の情報は公式サイト以外にも、転職情報サイト、口コミサイトなどで入手できますが、それらを漠然と読むだけでは有益な情報は得られません。転職するために必要な情報に絞って収集することで、その企業が何を目的に事業をしているのか、そのためにどのような人材を求めているのかが分かるようになります。有益な情報を踏まえた書類を作成し、面接時の自己PRに活用することで、採用への道が大きく開かれます。
ポイント4 転職支援サービスを利用する
転職理由には「異なる職種や業界でチャレンジしたい」以外にも、給与や待遇、勤務地、人間関係への不満も含まれます。個人で転職サイトを利用し、これらすべての条件を満たす職場を探すのは限界があります。そこで、理系をはじめ、研究職の紹介を得意とする転職支援サービスを利用するのも有効な手段です。
転職支援サービスには多くの求人情報が集まるだけでなく、カウンセリングや書類の作成、面接対策といった充実したサポートを提供してくれます。求職者のスキルを客観的に把握し、希望する条件と合致する求人を提示してくれるため、ミスマッチを未然に防ぐことができます。転職サイトは手軽に始められるメリットはありますが、より効率的に条件に合う転職先を見つけたいのであれば、しっかりとしたサポートが受けられる転職支援サービスがおすすめです。
研究に関する求人の会社選びのポイント
研究職を募集している会社を選ぶ際のポイントとなるのが、自分の希望する研究ができること、仕事に見合う待遇が得られ、働きやすい職場環境であることです。狭き門と言われる研究職への転職に成功しても、希望条件に合わずに後悔するという事態だけは避けたいものです。そうならないよう、事前に徹底した情報収集などの準備が重要になります。
転職先は大手から中堅、中小企業、大学や専門機関の研究所などがあり、その規模は様々です。従業員の多い大手企業は、潤沢な資本金や手厚い福利厚生などが魅力ですが、分業が徹底され、仕事の自由度が狭まる可能性があります。
一方で中小企業は資本金では劣りますが、アットホームな職場環境で仕事の裁量も任せられる風土が残る職場も多く、人によっては働きやすく感じるかもしれません。いずれにせよ、個々の価値観や何を重視するかを明らかにし、自分に合った会社選びを心掛けましょう。
また、メイテックネクストによると、会社選びのポイントとして、大きくは取り組んでいる研究内容に会社が投資をしているか、また、投資⇒回収のシナリオが見えるかどうかが挙げられます。ポジションごとでは、性能アップ、機能向上における道筋が、自身の得意分野・要素技術にマッチしているかを一つの指標にすると良いでしょう。
研究に関する求人への転職なら「メイテックネクスト」
研究職への転職を考えているなら、転職支援コンサルタントの半数以上がメーカーの技術系分野出身である、メイテックネクストの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
メイテックネクスト 東京支社長の梅津太一氏のコメント
「研究の仕事にはどのような人が向いているかと聞かれることがあります。論理的思考力、柔軟な思考、忍耐力・精神力などが一般的に言われているところですが、とある研究者に聞いた面白い話があります。その方は、研究とは『マンボウの卵理論』であると仰っておりました。生態は未だ正確に解明されていないと聞きますが、マンボウは3億個の卵を産むが、成魚になれるのは2匹程度。つまり、そのくらいのアイディアや切り口を生み出しても、製品化、ひいては世の中に必要とされるのは1つか2つなのだそうです。このお話を聞かせてくださった方はそう言って、笑っていました。研究職に最も必要な資質は、『研究自体を楽しめる』、これに尽きるのではないでしょうか。当社が転職支援を行う中で最も大切にしているのは、ご本人の興味や意思です。転職を考えたきっかけよりも、これからどうしたいかに重きを置き、これからも支援をしてまいりますので、ご興味をお持ちの方は、是非お声がけください」
まとめ
研究職は高度な専門知識が必要な上、中途採用の求人数が少ないことから転職のハードルが高い職種であることが分かりました。それでも化学メーカーを中心に、需要拡大が見込まれる分野の研究職の積極的な採用が増えています。
環境や社会問題の解決に向けた産業構造の変化に伴い、その傾向は今後も続くとみられます。これから研究開発に関わる仕事を目指す学生や社会人は、世の中の動向を見据えた学習やキャリア形成を心掛けることで、思い通りのキャリアパスを歩んでいけるのではないでしょうか。
記事監修
梅津 太一(メイテックネクスト 東京支社長)
中小から大手メーカーに対する採用コンサルティングを4年、その後はキャリアアドバイザーとして11年、延べ4000名以上のエンジニアのキャリアカウンセリング経験を持ちます。得意としていることは「求職者の強みの抽出」と「要素技術軸、工程軸(方法論)でのマッチング」です。昨今のマーケットは先が読みくいが故、自身が今どのような経験を積むべきか、また、どの分野(強み・弱み)に負荷をかけ成長を促すかを求職者と一緒に考えていきたいと思います。
エンジニア専門の転職支援会社
メイテックネクスト