およそ3000年前の古代ネイティブアメリカンのペトログリフを発見

ポーランドのヤギェウォ大学考古学研究所の研究チームは、アメリカのコロラド州とユタ州の州境にある遺跡で、古代ネイティブアメリカンの芸術作品群を発見した。その中には、巨大なペトログリフ(岩面彫刻)も含まれており、暦として利用されていたと考えられる。

今回の発見の地は、コロラド州とユタ州の境に位置するメサ・ヴェルデ高原にあるキャッスル・ロック・プエブロ集落だ。この地域は、岩のくぼみに築かれたり峡谷の壁に掘られるなどして造成された先コロンブス期の集落や、3000年前までさかのぼる古代プエブロ文化のロックアートがあるため、考古学者や観光客に人気の地だ。農耕民族であるプエブロ族による文化は、北米で最も進んだ先コロンブス期の文化の一つとして知られている。中世のタウンハウスや後のフラットハウスにも似た石造りの家屋を建てる技術を持っていた。また、ロックアート、複雑な装飾を施した宝飾品、顔料でモチーフを描いた陶器も有名だ。

研究チームは、この地でプエブロ文化の史跡や慣習を十数年に渡り調査し、これまでに知られていなかった巨大ギャラリーやさまざまな時代のペトログリフを発見している。最古のものは戦士やシャーマンが描かれたペトログリフで、紀元前3世紀のものと推定されている。プエブロ文化の人々は、主に平地で半地下の竪穴住居に住み、農業に従事して特徴的なバスケットやマットを生産していた。ペトログリフのほとんどは、12〜13世紀に作られたものだ。

2023年、研究チームは当初から探索してきた最初の地域の調査を終了する予定だった。3つの渓谷から成る地で、以前にアメリカ人も研究していた地域だった。本格的な発掘調査や物理的探査、デジタル化など、徹底的にこの地の調査をしたと研究チームは考えていた。ところが、地元の老人から、峡谷のより高く到達しづらい場所に何かあるのではないかという話を聞き、そこを調査したところ、崖の集落の約800メートル上にこれまで知られていなかった多くのペトログリフを発見した。

そこでは広い大地の周囲4キロメートルに渡って、巨大な岩の板が広がっていた。プエブロ族は、これらのペトログリフを天体観測に使用し、夏至、冬至、春分、秋分など暦の特別な日の日付を決定していたと考えられる。研究チームのリーダーであるRadosław Palonka教授は、「今回の発見は、この居住地域に対する我々の認識をさまざまな側面から完全に変えるものです。我々は、13世紀にこの地に住んでいた住民の数や宗教的な慣習の複雑さを過小評価していました」と述べている。

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