X線自由電子レーザーの7nmへの集光と世界最高ピーク強度を実現 大阪大学ら

大阪大学は2024年3月15日、理化学研究所らと共同で、X線自由電子レーザーの7nmへの集光と世界最高のピーク強度を実現したと発表した。今回の研究は、上記に加えて名古屋大学、高輝度光科学研究センターによる合計4者による共同研究だ。

波長が短いX線は、物質に対する高い透過性などを持つことなどから、レントゲン撮影をはじめ、X線CT、建物や橋などの内部検査、微小試料の組成分析などに活用されてきた。近年、X線とレーザーの性質を併せ持ち、より高い強度のX線自由電子レーザー(XFEL)が開発された。それを10nm以下のサイズにまで集光して強度を高めることができれば、未発見の物理現象の観測や、結晶化が不要なタンパク質の構造解析が可能になるため、その実現が期待されてきた。しかし、これまで光学系の熱的不安定性や振動の観点から、安定な集光状態を保証することができないなどの課題があった。

今回の研究では、X線領域にて安定なミラー型レンズとして作用する新規X線集光光学系を開発。同光学系は、鉛直/水平の両方向で凹面と凸面組み合わせのX線ミラーペアから構成されており、これを用いることで高い安定性でXFELの7nm集光を実現させた。

集光されたXFELのピーク強度は1.45×1022W/cm2にまで到達。従来と比較して100倍以上の強度で、世界最高のX線強度になるという。さらに集光したビームを金属原子(クロム)に照射すると、全電子を吹き飛ばすほどの劇的な反応が起きていることも分かった。

今回の研究によって実現された超高強度のXFELビームを用いることで、宇宙物理や高エネルギー物理、量子光学などの基礎物理分野で、これまで観察されていない物理現象の発見が期待されるという。さらに、タンパク質などの立体構造の解明など、医学や創薬に貢献する単分子構造解析技術の開発が期待できるという。

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X線自由電子レーザーの極限的7 nm集光を実現 – ResOU

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