世界最高水準の高表面積を有するハイエントロピー合金を開発 ユニチカ

ユニチカは2024年4月4日、世界最高レベルの非常に高い比表面積を有するハイエントロピー合金を合成する技術を開発したと発表した。さまざまな組成のハイエントロピー合金に応用が可能な技術で、高性能な水素生成電極や燃料電池用電極触媒などの創出につながると期待される。

ハイエントロピー合金は5種類以上の元素が同程度含まれる、主成分を持たない多元系合金で、近年は新しい金属材料として注目されている。ハイエントロピー合金の中には、触媒として、活性と耐久性を飛躍的に向上させるものもあり、次世代エネルギーの利用を促進する材料として期待されている。

同社が開発した合成技術では、1gでテニスコートの約260平方メートルを超える面積のハイエントロピー合金の粉末が得られた。これは、これまでの多孔型の高表面積ハイエントロピー合金と比較しても、飛躍的に表面積を拡大させている。表面積の拡大は、不均一触媒などの材料界面で効果が発現する用途において、触媒効果を格段に向上させると期待される。実際に、同社が作製した高表面積ハイエントロピー合金の触媒では、従来型ハイエントロピー合金と比較して、約9倍の反応速度の向上が認められた。

今回の技術は、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、白金(Pt)、金(Au)など、さまざまな金属を組み合わせた高表面積ハイエントロピー合金の合成が可能で、同社は既に特許を出願している。

これらの合金は、水素生成、水素添加、アンモニア生成などの反応触媒や燃料電池の電極触媒において、触媒効率や高温強度、耐酸強度の向上、白金などの貴金属の使用量抑制といった効果が期待でき、同社は今後、実用化に向けた研究開発を進めていく。

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