- 2024-4-26
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岡山大学の研究グループは2024年4月25日、強い還元力を持つ安定なフェノチアジン有機フォトレドックス触媒を開発したと発表した。この触媒は、青色LEDを光源とした種々のフォトレドックス触媒反応に適応し、これまでのフェノチアジン触媒では難しかった、触媒のリサイクル化を達成している。
有機合成化学分野では近年、環境に配慮したものづくりが注目されており、クリーンなエネルギー源である可視光を活用したフォトレドックス触媒反応が精力的に研究されている。フェノチアジンは、さまざまなフォトレドックス触媒反応に利用されている有機光触媒だが、より安定性の高い新たなフェノチアジン触媒の開発が求められていた。
研究グループは、窒素原子のパラ位に置換基を導入した螺旋型の構造を特徴とする有機フォトレドックス触媒(PTHS-1)を、新たなフェノチアジン触媒として開発した。電気化学測定と分光測定を用いて、PTHS-1触媒の光触媒機能を評価したところ、強い還元力を有し、青色光を光源として利用できる触媒であることがわかった。
次に、既存のフェノチアジン触媒との安定性を比較するため、光スルホニル化反応に適応したところ、PTH触媒は高収率で窒素原子のパラ位がトシル(Ts)化された生成物が得られたが、PTHS-1触媒は95%で触媒が回収できた。こうしたことから、従来のフェノチアジン触媒よりも安定性の高い触媒だとわかった。
また、可視光照射下リン酸エステル化反応での触媒のリサイクル化の検討では、検討回数を重ねるごとに収率が低下したPTH触媒に対し、PTHS-1触媒は、検討回数を重ねても収率が低下せず、目的とするリン酸エステルが良い収率で得られた。この触媒は、グラムスケールの大量合成の条件にも適応し、その場合もPTHS-1触媒を96%の収率で回収できた。
開発したフェノチアジン触媒(PTHS-1)は、従来のフェノチアジン触媒では適応が難しかった反応条件での光触媒反応を開発できる可能性を有する。今後、青色LEDを利用したさまざまな医薬品や機能性材料の合成につながる、PTHS-1触媒独自の光触媒反応の開発が期待される。
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