記録的な高エネルギー/電力密度のマイクロキャパシタの開発

Credit: Nirmaan Shanker/Suraj Cheema

ローレンス・バークレー国立研究所とカリフォルニア大学バークレー校の共同研究チームが、記録的な高エネルギー密度のマイクロキャパシタを開発した。同マイクロキャパシタは、電子機器の小型化とエネルギー効率向上に向けたオンチップのエネルギー貯蔵の発展に貢献するという。

同研究成果は2024年4月9日、「Nature」誌に掲載された。

静電キャパシタは、電力供給の速さと寿命の長さの面で優れたエネルギー貯蔵技術だが、バッテリーと比べ、エネルギー密度の低さに課題を持つ。同課題を克服するために研究チームは、負のキャパシタンス効果を発揮する酸化ハフニウム(HfO2)と酸化ジルコニウム(ZrO2)の薄膜を作製し、記録的な高エネルギー密度を持つマイクロキャパシタを開発した。

研究チームは、原子層堆積法によってHfO2とZrO2の薄膜を作製した。2つの成分比に依存して、薄膜は強誘電体か反強誘電体になるかが変わる。成分比が適切に調整されると、キャパシタを充電して生じる電場が、強誘電体と反強誘電体の転移点でバランスをとり、この変わりやすさが負のキャパシタンス効果を生み、わずかな電場で材料を容易に分極する。

エネルギー貯蔵量を増加させるためには、強誘電体と反強誘電体の転移点でバランスを保った状態で、薄膜の厚さを増やす必要がある。研究チームは、HfO2とZrO2を何層か重ねるごとに原子厚の酸化アルミニウム層を挟み、負のキャパシタンス効果を維持したまま、膜厚を100nmまで成長させることに成功した。

その結果、同マイクロキャパシタのエネルギー密度は80mJ-cm-2、電力密度は300kW-cm-2に達し、現在最良とされるキャパシタと比較すると、エネルギー密度は9倍、電力密度は170倍高くなった。

高性能マイクロキャパシタは、IoTセンサやエッジコンピューティングシステム、AIプロセッサなどの小型化のデバイスのエネルギー貯蔵に対する、大きな需要を満たすのに役立つ。研究チームは現在、同技術の規模を拡大し、フルサイズのマイクロチップに組み込むとともに、負のキャパシタンス効果のさらなる改善を目指している。

関連情報

Groundbreaking Microcapacitors Could Power Chips of the Future – Berkeley Lab News Center

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