- 2024-8-6
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- MESSENGER, Nature Communications, アメリカ航空宇宙局(NASA), グラファイト浮遊地殻, コア・マントル境界(CMB: Core-Mantle Boundary), ダイヤモンド, マグマオーシャン, メルト(岩石の溶融部分), 地球物理学モデル, 水星, 炭素, 熱力学モデル, 高圧科学技術先端研究センター, 高圧高温実験
中国の高圧科学技術先端研究センターは2024年6月14日、水星の地下にあるコア・マントル境界(CMB: Core-Mantle Boundary)に厚さ14.9~18.3 kmのダイヤモンドの層が存在する可能性を分析し、その研究結果を『Nature communications』誌で発表した。
研究者らは、アメリカ航空宇宙局(NASA)のロボット探査機MESSENGERによる水星探査ミッションで、豊富な炭素を確認した。これは、原始的なグラファイト浮遊地殻の名残と解釈され、マグマオーシャンとコアが炭素で飽和していたことを示唆しているという。
研究者らは高圧高温実験、熱力学モデル、そして惑星の内部構造に関する最新の地球物理学モデルに照らして、水星内部の炭素種分化を再評価した。
硫黄を含まないメルト(岩石の溶融部分)は、グラファイトの安定領域にあるはずである。しかし評価の結果、特異な還元条件下におけるメルトへの硫黄溶解が、硫黄に富む液相をグラファイト-ダイヤモンド転移温度まで低下させたと考えられる。
この研究は、統計的に可能性は低いものの、マグマオーシャンでダイヤモンドが安定して存在する可能性を示した。さらに、固体の内核が形成されたことにより、冷却された溶融核からダイヤモンドが結晶化し、時間とともにダイヤモンド層が厚く形成された可能性があるという。
関連情報
A diamond-bearing core-mantle boundary on Mercury | Nature Communications