船舶が排出する二酸化炭素を無害な海塩に変換する、炭素回収/貯蔵技術を開発 米スタートアップ

カリフォルニア工科大学(Caltech)と南カリフォルニア大学(USC)によるスピンオフスタートアップ企業のCalcareaが、船舶エンジンから排出される二酸化炭素(CO2)を無害な炭酸水素塩に変える新しいシステムを開発した。

自然の営みの中で、海水は大気中に排出されるCO2を吸収して、水素イオン(H+)と炭酸水素イオン(HCO3)を生成し、酸性を帯びる。酸性の水は、堆積物中の石灰岩、つまり炭酸カルシウム(CaCO3)と反応して炭酸水素塩を生成する。これによりCO2は安定な形で海中に留められる。このような地球の自然な中和プロセスはゆっくりと長い年月をかけて進行する。

Calcareaの新しい炭素回収/貯蔵システムは、この自然な炭素循環を加速するもので、CaltechとUSCの海洋学と海洋工学の研究室が10年以上にわたり進めてきた研究に基づいて開発された。

このシステムのリアクターを用いることで、船からの排ガス中のCO2を、安定で環境に優しい炭酸水素塩に変換し、安全に貯蔵できる。簡単に言えば、CO2が多く含まれた気体と石灰岩、そして海水から、クリーンな気体と少しだけ塩分が濃い海水を短時間で作り出せるのだ。

このシステムは、現在利用可能な船舶搭載型の炭素回収システムよりも小型で効率的、そして低コストとなっている。既存の船舶との互換性もある。また、純粋な二酸化炭素を取り扱う際に、港湾インフラに依存しないというのも利点だ。

関連情報

Accelerating the Earth’s natural solution to climate disruption

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