3Dプリント製フラクタル空孔構造キューブを製作――ハイテク防具の5倍の性能

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フラクタル空孔構造を複雑化することにより、衝撃波消散性能を向上できる。

ロス・アラモス国立研究所の研究チームが、衝撃波を効果的に消散するフラクタル空孔構造設計技術を開発し、3Dプリントによりフラクタル空孔を繰返し配置したプラスチック製キューブを造形、その有効性を実証した。コンピューターシミュレーションにより、フラクタル空孔構造の複雑化が衝撃波消散性能を向上することも確認した。衝撃や爆発に対する新たな軽量防具として、自動車やヘルメットなどの保護製品における構造サポートや保護層としても応用できると期待している。研究成果は、AIP Advances誌に論文発表される予定だ。

空孔(ボイド)を活用する衝撃波消散材料は、これまでにも提案されてきたが、基本理論に基づくものではなく、トライエンドエラーの上に空孔をランダム配置したものが多い。あるいは材料中に界面層を導入し、衝撃波を反射緩和させるものも提案されている。研究チームは、衝撃波と材料構造の相互作用を制御する研究を展開しており、その過程で同様形状の空孔を規則的に繰返し配置する、フラクタル空孔構造に着目した。3Dプリントを活用して、複雑なフラクタル空孔構造を実際に作製して、衝突実験により性能を確認するとともに、コンピューターシミュレーションにより、フラクタル空孔構造設計の指導原理を確立することにチャレンジした。

その結果、3Dプリントによって空孔の形状および規則的な繰返し配置を正確に制御することができ、個々の構造パターンについて再現性の高い研究を実施することが可能になった。作製したプラスチック製フラクタル構造キューブについて、衝突体を毎時670マイル(毎時1072km)の速度で衝突させる性能試験を実施した結果、「フラクタル構造を持たない同一材料製キューブよりも、衝撃波のエネルギーを5倍も消散させる」ことを明らかにした。更に、コンピューターシミュレーションの結果、フラクタル構造において複雑性を高めることが、衝撃波のエネルギー消散性能を向上させることを明らかにした。

「研究結果は非常に有望だが、このフラクタル構造が最良かはまだ分からない。どのように制御すれば最適な構造が得られるかは、正直なところ未だ確立していない」と、研究チームは語る。更に良い結果をもたらす可能性のある、他の構造や界面状構造についても研究を進めており、「新しい最適化アルゴリズムによって、特定の繰返し構造以外の新しい構造が導かれる可能性がある。先進的なメゾスケール製造技術と組み合わせ、最適構造が得られる指導原理を確立することによって、軽量防具だけでなく自動車やヘルメット、他のウェアラブル等の幅広い用途で、構造サポートや保護層として活用できるようになる」と、今後の見通しについて期待を明らかにしている。

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