不織布の袋でセルを包み、EVバッテリーの性能を高める技術

ドイツのFreudenberg Sealing Technologiesは、電気自動車の性能向上に寄与するために、安全性、寿命、設計の柔軟性に優れたバッテリーを開発している。最新のソリューションは、革新的なセルエンベロープ(cell envelopes)とセルキャップ(cell caps)だ。航続距離の延長と充電時間の短縮に取り組む電気自動車メーカーに技術的なメリットを提供するだろう。

セルエンベロープは、袋状に加工された不織布で構成されている。単体のバッテリーセルを積層したセルスタックを不織布で包み込み、従来のフィルムと同様に組み立て時にセルを保護し、電気を絶縁する。不織布エンベロープの優れている点は、セルを充填する際に気泡を巻き込むリスクが低く、バッテリーの寿命が尽きるまで浸漬を維持できる点だ。これは、不織布が超均質な最高構造を形成する遷移ネットワークで構成され、永久的な電解液濡れ性の表面処理が施されているため可能となる。

また、従来のフィルムと比べて電解液を充填した不織布は熱伝導率が高いため、セル内の熱管理も改善する。スポンジと同じように不織布には電解質が吸収されているため、不織布が圧縮すると電解質が放出される。この圧縮は、セルのエージング処理中にセルスタックが膨張することで発生する。

さらに、不織布エンベロープは厚いため、セルスタックの膨張の大部分を吸収することができ、単体セル間の圧縮層を薄くすることが可能だ。さらに、セルスタックの膨張を吸収することで、セルスタック自体への荷重分布はより均一になり、デンドライトの形成や金属リチウムの析出(リチウムめっき)のリスクを低減する。これらの機能はサイクル寿命を延長し、バッテリー技術における課題解決に役立つ。

もう一つのソリューションであるセルキャップは、セルメーカーと共同開発したカスタムデザインのセルキャップだ。セルが熱暴走したときに発生する気体を放散するラプチャーディスク(破裂板)など、重要な機能が搭載されている。内部電極に溶接されたセルキャップは、バッテリーセルを効果的に密閉、絶縁する。試験では、寿命まで気密性が維持された。ガス漏れのリスクが抑えられるため、安全性が向上する。さらに、セルキャップはピーク荷重や疲労に対する優れた機械的耐性を備えている。

Freudenberg Sealing Technologiesの自動車販売部門社長であるUlrich Huth氏は、「モビリティは変化していますが、私たちはその最先端を走っています。自動車分野の技術、品質、サービスにおけるマーケットリーダーとして、未来のモビリティのための革新的で最先端の製品を開発、製造するために必要なすべての専門知識を私たちは持っています」と述べている。

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