荏原製作所は2024年11月8日、ロケットエンジン用電動ターボポンプの極低温流体試験に成功したと発表した。
電動機で駆動する電動ターボポンプは、従来のタービン駆動のポンプと比較して、エンジンシステムがシンプルになるというメリットがある。また、信頼性が高く出力制御が簡単になることから、実現が期待されている技術だ。同社は推力3トン級のロケットエンジンを想定した電動ターボポンプの開発を目指しており、今回は液体窒素を作動流体とした電動ターボポンプの性能試験を行った。
試験は2024年9月6日~13日の間、JAXA角田宇宙センターで実施された。ロケットエンジンで使用される液体メタン燃料を想定し、同燃料と同等の極低温である液体窒素(-196℃)を作動流体として使用することで、低温環境での課題に対する設計や製造条件を確認した。試験の結果、流量や圧力、回転速度などが設計通りになっていることが確認できた。異常振動や液体窒素の漏洩なども見られなかった。
同社では今後、さまざまな運用条件に関するデータを取得して、同製品を使ったエンジンシステムの実現を目指す。また、液体メタンを用いた試験や、液体酸素用ポンプの製造/試験、さらに両者をあわせたエンジンシステムの実証を進めていく。