シルクに接着性を付与する方法を発見――環境負荷の少ない簡便なプロセスで 理化学研究所

酵素反応による接着機能を付与したシルクタンパク質の合成

理化学研究所は2019年3月11日、クモ糸やカイコの繭糸の主成分であるシルクタンパク質を酵素処理することで、高い接着性を示すことを発見したと発表した。

濡れた岩場などにも、その足糸(そくし)を使って強力に張り付くことができるムラサキガイの能力は、ムラサキガイが持つ接着タンパク質に含まれる3、4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)が寄与していることが知られている。今回の研究では、そのDOPAの前駆体であるチロシン残基が、カイコの繭糸から得られるシルクタンパク質に含まれていることに着目。カイコの繭糸からシルクタンパク質水溶液を調製し、これを酸化酵素チロシナーゼで処理することで、シルクタンパク質中のチロシン部位をDOPAへ変換したタンパク質の合成に成功した。

チロシナーゼを用いるDOPA含有シルクの合成

このシルクタンパク質を2枚のマイカ(雲母)基板の間に塗布して引張試験を実施した結果、反応前のシルクタンパク質と比較して、接着強度が大幅に向上していることを確認。その強度は塩基性条件下でより大きくなることから、ムラサキガイの接着タンパク質と同様に、脱プロトン化したリジンとDOPAの相互作用である可能性が示唆されたという。また、同様の接着性の確認を、紙やポリプロピレン樹脂、木材、シルク薄膜などで行った結果、表面の性質が大きく異なるこれらの物質でも、高い接着性を示すことが確認された。

今回発見した酵素反応を利用したタンパク質の新しい修飾法によって、環境負荷が少なく、しかも簡便なプロセスで天然物由来の優れた接着材料を得られるようになる。また、表面特性が異なるさまざまな物質で高い接着性を示しているため、幅広い用途展開が考えられるという。さらに、複合材料の界面を接着する際に今回得られたタンパク質を活用することで、新たな異種複合材料の開発にもつながるという。

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