日本電気硝子は2024年12月4日、炭酸ガス(CO2)レーザーで穴あけ加工ができる新型ガラスコア基板の開発に着手したことを発表した。次世代半導体パッケージ基板の製造工程の大幅な効率化を目指す。
AI半導体の高性能化により、チップレット構造の採用が進み、搭載するダイの大型化とダイ数の増加が進んでいる。樹脂製基板が現在の主流だが、次世代の高性能、高密度アプリケーションへの対応が困難とされている。
ガラスはこれらの課題を解決する素材として注目されているが、ガラス製のコア基板における微細貫通穴(ビア)の形成には、レーザーによる改質と酸やアルカリによるエッチングを組み合わせた複雑な工程が必要で、技術的な難易度、加工時間、設備投資の面で課題があった。
同社が現在開発を進めているガラスコア基板は、微細貫通穴(ビア)の加工に汎用性の高いCO2レーザーで対応する。ガラスの組成とレーザー加工条件を最適化し、一部の穴形状はクラックレスの穴あけに成功した。同社は開発を継続し、さまざまな穴形状への展開を目指している。開発が完了次第、ガラスコア事業のラインアップにこのガラスコア基板を加える。
開発では、生産性の向上として、板ガラス成形技術(オーバーフロー法)による量産技術の確立、クラックをCO2レーザーでの高速加工で発生させないこと、CO2レーザーによる高速加工で加工時間の大幅短縮、既存の製造設備の活用による設備投資の抑制を目標としている。
また、優れた信頼性も目標に掲げており、温度、湿度の影響を受けにくく(寸法安定性)、発熱などによる反りの抑制、平坦性、平滑性、剛性に優れ、微細配線や高密度実装への対応を目指している。
現在、ガラスの組成検討とレーザー加工条件を検討しており、2025年内の515×510mmサイズへの大型化を目指す。製品化に向けた信頼性評価も実施している。今後、GCコア(ガラスとセラミックスの複合材基板)と、開発中のガラスコア基板により、CO2レーザー加工対応の無機コア基板のラインナップを拡充していく。