日産自動車は2020年1月6日、自動車特有の騒音を500~1200Hzの周波数帯で効果的にさえぎる新しい遮音材「音響メタマテリアル」を開発したと発表した。現在使われているゴム板などの遮音材と比べて重量を約4分の1に抑えられ、同等の遮音効果を得られるという。アメリカで1月7~10日に開催の技術見本市「CES 2020」に出展する。
音響メタマテリアルは、周期的な格子構造の上にフィルムを貼ったシンプルな構造。音が伝わるときの空気の振動状態に対して、フィルムが効率的に震えて音を跳ね返す。ロードノイズやエンジン音など、車内に入ってくる音の透過を抑制できる。
また構造がシンプルであることから、従来の遮音材よりも量産時の価格競争力を向上できると見込んでいる。重量も約4分の1に減らせることから、これまで遮音材の使用が制限されていた車種にも幅広く採用できる可能性がある。
日産は2008年ごろから、メタマテリアルの技術に着目。電磁波領域で高感度アンテナなどに使われていたメタマテリアルを研究開発し、音響波への応用を目指してきた。今回、音響メタマテリアルの基本原理を解明したことで、遮音材の開発に成功したと説明している。