生産管理の転職事情とは?おすすめの転職先や転職難易度を紹介

生産管理はスケジュール調整や在庫管理などを担う職種で、モノづくりの現場に不可欠なポジションです。生産管理の仕事では幅広い視野とスキルが求められ、専門性が高い一方、求人数が少ないという特徴もあります。

しかし、生産管理の職に就く方の中には、さまざまな理由で転職を考えている方もいるでしょう。そのためには、生産管理職ならではの事情や強みを把握しておく必要があります。この記事では、生産管理職から転職する場合に押さえておきたいポイントを解説します。

生産管理とは

生産管理とは、製品の製造にあたり、現場全体を見通して指揮・監督する仕事のことです。具体的には、生産スケジュールの立案と調整、コストの調整、材料の調達、人材リソースの管理、在庫管理など幅広い業務に携わります。

現在、多くの企業がコストカットや生産性の向上を推進しようと試みています。生産管理はこれらの要素に直結する職種のため、ニーズが増えているのです。

似ている職種にSCM(サプライチェーン・マネジメント)がありますが、生産管理とは厳密には異なります。SCMは材料の調達から製品の販売まで、サプライチェーン全体を管理する仕事です。一方の生産管理は、主に製造業の生産ラインにおいて管理を担います。SCMの業務の一部に生産管理が含まれると言えるでしょう。

生産ラインの全体を監督する生産管理の仕事では、以下のような幅広いスキルが求められます。

・スケジュール管理能力
・コミュニケーション能力
・現場全体を見通す広い視野
・海外の取引先や生産拠点とやりとりするための語学力

生産管理職の魅力

生産管理の仕事にはさまざまな魅力がありますが、特筆すべきは「キャリアアップのしやすさ」と「安定性」です。

先述のように、生産管理は幅広いスキルが求められる仕事です。生産管理経験者は多くのスキルを併せ持つため、市場価値の高い人材になれるでしょう。どの職種に転職しても、生産管理での経験を生かせる可能性が高いです。監督経験を持つことから、管理職への昇進を見込んだ転職も可能です。

生産管理はモノづくりにおいて不可欠な仕事のため、今後も一定のニーズがあると考えられます。さらに、生産管理経験者を求める企業は多く、製造業だけでなく他業種における需要も高いです。

生産管理職から転職する人の転職理由

魅力の多い生産管理の仕事ですが、中には転職を考えている方もいるでしょう。生産管理職の方が転職を考える主な理由を紹介します。

・職場環境が変わったから
・スキルの幅を広げたいから
・昇進への不安を感じたから
・裁量をもって仕事に取り組みたいから

職場環境が変わったから

職場環境を理由に転職を考える方は少なくありません。さまざまな事情がありますが、企業のトップ交代、上司の異動、方向性の変化などが主に考えられます。企業の方向性が変化する例としては、生産性の向上を目的に自動化・DX化を推進したり、海外拠点の増設が決まったりするケースが多いでしょう。

こうしたとき、現場全体を見通し、バランスを取る役割である生産管理職には、大きな負担がかかります。その結果、ストレスが増えたり、ワークライフバランスが取れなくなったりして、転職を考える人が多いのです。

生産管理職には多くのスキルが求められますが、なかなか適切に評価されないという課題もあります。その理由は、生産管理による成果は定量的に計測しにくいためです。

生産管理職は、総合的なスキルは幅広く身につきますが、専門的なスキルは身につきにくい職種と言えます。定量的に評価できる専門スキルがあれば、より適切に評価され、キャリアアップにつながるでしょう。このような専門スキルを新たに身につけたい人は、転職を考える傾向にあります。

昇進への不安を感じたから

先述のように、生産管理職は総合的な力は磨かれるものの、専門スキルが身につきにくいため、専門的な職種への転向は難しいと言えます。そのため、スキルアップするイメージが掴みにくいことが多いようです。

生産管理の経験がある場合は管理職を目指すこともできますが、すでに役員のポジションが埋まっている場合、昇進への不安を感じるでしょう。また、報酬などの待遇に不満を持つ方も少なくありません。このように、将来性に不安を感じて転職する人もいます。

裁量をもって仕事に取り組みたいから

生産管理職は確かに幅広い業務に携わるものの、いち現場社員であるため、裁量権が小さいと感じる人もいるようです。特に、製造業では役割分担がはっきりしているため、自身の担当外のことは関わりづらい状況にあります。

社員の裁量権が小さい職場では、生産性が上がりにくいと言われています。このような状況にストレスを感じ、他の企業や職種への転職を考えるようになるようです。

生産管理職出身者が転職する際の強み

生産管理職の経験者は、業務を通じて以下のようなスキルを身につけており、即戦力として重宝されます。

・生産工程への幅広い専門性がある
・コミュニケーション能力が高い
・海外ベンダーとのやり取りを経験している

これらの強みについて、1つずつ見ていきましょう。

生産工程への幅広い専門性がある

生産管理職は生産工程の全体を指揮するため、その全体像を熟知しています。特にQCD、つまり「Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)」目標を達成することに関してはプロです。

生産管理職はQCD目標の達成に向け、その都度原因を分析して改善し、プロジェクトを遂行してきた経験を持ちます。こうした経験は生産管理職のみならず、多岐にわたる職種で必要とされるでしょう。

コミュニケーション能力が高い

生産工程において、生産管理職が調整すべきことは多く、社内・社外のあらゆる人と連携する必要があります。そこで培われたコミュニケーション能力は生産管理経験者の大きな強みであり、どのような職場でも有効活用できるでしょう。

また、生産管理経験者はリーダーシップを持ち、現場を監督してきた経験が豊富です。特にマネジメントやプロジェクト管理が必要となる場合、このリーダーシップが生かされます。

海外ベンダーとのやり取りを経験している

海外のベンダーやサプライヤー、生産拠点などを持つ企業の場合、生産管理職は海外拠点とやりとりすることがあります。こうした経験がある場合、同じく海外拠点を持つ企業への転職で有利になります。

特に近年は、少子高齢化などの影響から海外進出に力を入れる企業も多く、語学力や海外の法律の知識を持つ人材は重宝されます。これらの経験やスキルがある場合は、転職活動で積極的にアピールしましょう。

生産管理職出身者のおすすめの転職先

ここでは、生産管理職経験者におすすめの転職先とその理由を紹介します。生産管理職の強みを生かせるおすすめの転職先としては、以下のようなものがあります。

・他の企業の生産管理職
・コンサルタント
・商社

他の企業の生産管理職

まず、同じ生産管理職として、同業他社に転職する方法が挙げられます。この方法をおすすめした大きな理由は、製造業における生産管理職のニーズが高いためです。生産性向上やコストカットの必要性が上がったこと、海外進出する企業が増えていることなどから、生産管理職の需要が増えています。

また、生産管理職はモノづくりの現場に不可欠でありながら、幅広いスキルが求められるため、対応できる人材は多くありません。未経験者を採用して教育するより、生産管理職の経験者を採用する方が効率的で仕事の質も高いでしょう。

同業他社の生産管理職への転職には、多くのメリットがあります。まず同業界での転職となるため、前職でのノウハウの大部分を生かすことができます。基本的な仕事内容がほぼ変わらないため覚えることも少なく、転職後の負担も小さいでしょう。また同職種の経験者ということで、条件が合えば前職より好待遇も期待できます。

コンサルタント

次におすすめしたい職種はコンサルタントで、中でも製造業コンサルタントがおすすめです。製造業コンサルタントとは、製造業の企業に対してコンサルティングを行う職種のことを指します。

製造業コンサルタントの主な仕事は、製造業における業務効率化などの支援です。具体的には、生産工程の改善やコスト削減をはじめ、企業が抱えるさまざまな課題解決を支援します。

製造業コンサルタントは製造工程を熟知していること、現場目線に立って提案ができる能力を持つことが不可欠です。そのため、多くの製造業コンサル会社では製造現場経験者を求めています。生産管理経験者は実際に現場を監督してきた経験を生かし、現場目線に立った提案ができます。

一般的に、コンサルティングは生産管理職より裁量権が大きい傾向にあります。そのため、製造現場の仕事で不自由さを感じている方には、特におすすめの職種です。また、コンサル業界は平均的に給与が高いため、前職よりも好待遇が望めるでしょう。

商社

生産管理職の経験者には、商社への転職もおすすめです。その際は、自社で生産体制を持つ商社に絞るとよいでしょう。

技術商社や総合商社において、最近ではモノづくりに力を入れ、自社工場を構えるケースが増えているのです。また、製造業向けコンサルティング部門を持つ商社もあります。こうした商社の工場やコンサル部門では、生産管理の経験とスキルを生かすことができます。

商社への転職は、特に海外との折衝経験を持つ方におすすめです。海外との貿易を担うことが多い商社では、語学力や貿易に関連する法知識が求められます。また、生産管理職で培われる広い視野やコミュニケーション能力、交渉力、マネジメント能力なども商社で生かせるでしょう。

生産管理職への転職難易度は? 未経験から転職できる?

ここまで生産管理職の経験者に向けたポイントをお伝えしましたが、反対に未経験から生産管理職へ転職することはできるのでしょうか。

生産管理職には必須とされる資格がありません。スケジュール管理能力やコミュニケーション能力など、総合的なスキルが重視されるため、未経験者でも採用されるチャンスはあります。例えば、メーカーでの勤務経験や商品開発の経験、マネジメント経験などがあれば、採用される可能性があるでしょう。

ただし、業界内部の事情として、生産管理職の求人を出す企業の多くは、即戦力を求める傾向にあります。そのため、実質的に経験者に限った採用を行うことが多く、未経験者の採用率が低いのです。

また、生産管理職の特徴として、求人数の少なさが挙げられます。採用枠が非常に限られるため、結局は経験者を採用するケースが多いのです。

生産管理職の求人が少ない理由

生産管理職の求人数が少ない理由としては、以下の2点が挙げられます。

・求職者からの人気が少ない
・社内異動が主流である

求職者からの人気が低い

生産管理職は現場の最前線で活躍するというより、現場社員をバックアップする「縁の下の力持ち」的な仕事です。社内でも目立たない存在というイメージがあり、生産管理職が実際にどんな業務をしているのか、知らない社員もいるかもしれません。そのため、特に新卒者や若い求職者には不人気の職種と言われています。

この傾向は転職エージェントの求人数にも影響を与えています。一般的に、転職エージェントは人気職種に力を入れています。生産管理職は人気が低いため、転職エージェントも力を入れない傾向があるようです。生産管理職へ転職したい場合、エージェントとよく相談して戦略を練る必要があるでしょう。

社内異動が主流である

製造業やメーカーにとって、生産管理職は重要なポジションです。しかし、求職者から不人気であることや、高度かつ幅広いスキルが必要なことなどから、採用基準を満たす求職者になかなか出会えません。

ではどのように人材を補充しているかというと、社内異動でまかなうことが多いのです。生産管理職は、自社の製品や生産工程を熟知している必要があります。その点、自社の社員であればこれらの知識が身についているため、教育コストもかかりません。

こうした事情から、そもそも生産管理職の募集をかける企業が少ないのです。中途採用を行う場合も、経験者に絞るケースや非公開求人が多くなっています。

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以上のような理由もあり、生産管理職の転職はさまざまな要素を熟知した上で進める必要があります。生産管理職への転職を狙う場合、求人数が少ない上に求められる水準が高く、狭き門となるでしょう。

そこで、転職エージェントの利用をおすすめします。転職エージェントを利用すれば、そのエージェントだけの非公開求人に出会えるほか、企業からのオファーを得られることもあり、自身の強みを存分に活用できます。

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まとめ

生産管理職は、生産現場全体をまとめる指揮官・監督者の役割を持つ、非常に重要なポジションです。

しかし、生産管理職に求められるスキルは多岐にわたり、対応できる人材は限られます。だからこそ経験者は希少価値が高く、転職市場におけるニーズも高いのです。

生産管理職の経験者が転職する場合は、業界や職種ならではの事情を理解した上で進める必要があります。エンジニアに特化した転職サービス「メイテックネクスト」をぜひご活用ください。

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fabcross for エンジニア 編集部

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