三菱マテリアル加工事業カンパニーは2017年4月17日、CFRPのさまざまな加工に対応する複合材加工用超硬ソリッドドリル「MCシリーズ」6種類の販売を開始した。
航空機産業、自動車産業で需要が急増しているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、特に航空機産業ではCFRPとアルミニウム合金やチタン合金を重ねた被削材の安定的/効率的な切削加工が要求される。加えて、多様な加工機械に合わせたドリルも必要となっている。今回販売が始まったMCシリーズは、こうしたさまざまなCFRP材や加工機械に対応した6種のドリルで構成されている。
うちCNCマシーン用は4種類。「MCC」はCFRP単体専用で、先端角を90°にして切削抵抗を低減し、加工残しの無い良好な穴品質を実現する。「MCA」はCFRPとアルミニウム合金を重ねた被削材専用。切りくずを包み込むような専用溝設計により、切りくずが穴壁面に接触するのを防止し穴加工の隙間や段差を抑制している。
「MCT」はCFRPとチタン合金を重ねた被削材専用。切削熱を抑制するシャープな切れ刃により高品質な穴加工を実現する。また「MCW」は高精度穴加工専用で、CFRP単体からアルミニウム/チタンとの合金まで対応。切れ刃にV字の溝を持つ独自設計により、外周で生成される切りくずをコントロールし、加工穴径の隙間や段差の抑制と加工穴出口のバリを抑制している。
ハンドツール加工専用は2種類で、「MCCH」はCFRP単体専用。ハンドツールに対応すべく靭性を高めた専用超硬材種を採用し、突発的な折損を防止する。また、切れ刃の切削抵抗を低減して信頼性の高い穴加工を実現する。「MCAH」はCFRPとアルミニウム合金を重ねた被削材専用で、ハンドツールに対応した専用超硬材種の採用とともに、溝形状を最適化することで切りくず分断性と排出性を両立している。
ドリル径により、「MCC」5型番、「MCA」2型番、「MCT」2型番、「MCW」4型番、「MCCH」6型番、「MCAH」6型番がそれぞれ用意されており、標準価格は1万7500円〜8万3000円。