京都大学は2017年7月25日、東京大学、九州産業大学、韓国科学技術院、ドイツマックスプランク研究所と共同で、銅酸化物高温超伝導体が超伝導状態になる過程で現れる特異な金属状態を解析した結果、電子が集団的な自己組織によって配列し、ある種の結晶状態が作られていることを発見したと発表した。
銅酸化物高温超伝導では、超伝導を起こすよりも高温で、一部の特定の方向の電子が消失するという特異な金属状態を示すことが従来より観測されていた。しかしこの擬キャップ状態と呼ばれる状態がどのように生じて、高温超伝導の発現機構とどのように関連するかは、四半世紀に渡り謎であった。
今回の共同研究では、磁気トルク測定という超高感度磁気測定を用いて、擬キャップ状態の磁気的性質を非常に高い分解能で解析した。その結果、電子が集団的な自己組織化によって配列することで一種の液晶状態が作られていることを発見した。
今回の研究成果は、高温超伝導の発現機構解明に重要な指針を示すものとして期待されている。