富士通とPETRA、高伝送密度のシリコンフォトニクス光送受信器を開発

開発したシリコンフォトニクス光送受信器

富士通は2017年9月19日、NEDOプロジェクトにおいて光電子融合基盤技術研究所(PETRA)と共同で、従来の約2倍の伝送密度でデータ伝送可能なシリコンフォトニクス光送受信器を開発したと発表した。

AIやIoTなどの技術革新に対応するため、サーバーシステムの高性能化や高効率化が求められている。それに伴いサーバーシステム内のデータ伝送容量の拡大が課題となってきているが、従来の電気配線を用いた方法では限界があり、光によってデータを伝送する方法が期待されている。具体的には光素子とそれを駆動する電子回路を複数並べて使用することで伝送容量を増やす方法が検討されてきた。

今回開発したのは、プロセッサのパッケージに搭載可能な約1cm角のチップサイズで25Gbps、16チャンネルの400Gbpsで動作するシリコンフォトニクス光送受信器だ。同社によると世界最高の伝送密度だという。

同時に、従来の40%減となる1Gbpsあたり1.6mWの低消費電力にもかかわらず、さらに高速化が可能な1チャンネル56Gbpsで光信号を発生する4値パルス制御光送信器技術も開発した。

これまでの光送受信器では、光回路に搭載可能なレーザー素子のサイズや駆動電子回路のチャンネル数が構造上制限されているために、光回路のサイズと容量が制限されていた。また光送受信器を高密度化すると信号の電気的干渉が発生するために、干渉を抑えて送受信器を高密度化することが課題だった。

今回の開発では、レーザー素子を搭載する端子構造と駆動電子回路を搭載する端子構造の、2つの異なる端子構造をリフトオフと呼ぶ方法で形成することによって、2種類の端子をシリコンフォトニクス上に形成する技術を確立。実装時に干渉を起こさないように光回路の構成を工夫することで、チップサイズを抑えながら大容量化を可能にした。

また、その他PETRAが開発した高密度化技術や、送信部と受信部間にシールド構造を用いて電気的干渉を抑制する方法などが適用された。

今後は、開発した光送受信器技術を光モジュールに適用し、2019年度中の実用化を目指すという。

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