三菱ケミカルは2017年9月27日、接着性樹脂「モディック」について、ポリプロピレン(PP)とポリ塩化ビニル(PVC)を接着できる新グレードを開発したと発表した。
同社のモディックは、異種材料との接着性を付与した接着性樹脂製品。ポリオレフィンやポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)等の極性樹脂又は金属に対する接着性を持ち、食品包装や建材、自動車等の分野で、多層フィルム、シート、ブロー成形品、金属被覆等の用途に利用されている。
一方PP及びPVCは、汎用樹脂として様々な用途で使用されているが、両樹脂の極性は大きく異なっている。そのため多層フィルムなどの製造で用いられる共押出成形(異なる種類の樹脂を同時に押出/積層して一工程でラミネートフィルムを作る方法)では、両樹脂の接着は困難とされ、接着させるためには溶剤型の接着剤を塗布して貼り合わせる工程等が必要だった。
今回発表された新グレードは、PP、PVCのそれぞれと親和性の高い成分の分散をコントロールすることで、PP-モディックの界面及びPVC-モディックの界面を強化させ、優れた接着性を発現させている。これにより、従来は困難とされていた共押出成形によるPP、PVCの接着も可能となっている。また、PVCとこの新グレードを共押出によって製造したフィルムは、PPと熱融着する性能を有するため、貼り合わせ工程を省略化することができる。
同社では、今回の新グレードの利用により、今後自動車や建材等の様々な分野において、PPとPVCの特性を兼ね揃えたこれまでにない構成を持つフィルム、シート、異形押出品等の創出が見込めるとしている。