科学技術振興機構は2017年12月19日、東京大学、東京工業大学、大阪大学らと共同で、プラスチック基板上に自己組織化単分子膜のような数層からなる分子配向膜の形成手法を開発し、有機集積回路への応用に成功したと発表した。
フレキシブルエレクトロニクスは、従来のエレクトロニクスにはない柔軟さや軽さを生かして、曲がるディスプレイや大面積センサーなどへの応用が研究されるなど、注目を集めている。しかし、プラスチック基板上へ薄い均一な分子配向膜(微細な溝のある板)を形成する技術がないために、フレキシブルデバイスの性能向上が困難だった。
今回の研究では、2次元に配向する3枚羽プロペラ上の分子「トリプチセン」を用いてプラスチック基板上に数層の分子配向膜を形成することに成功。この分子配向膜を有機トランジスタの絶縁膜上に形成することで、有機トランジスタおよび集積回路の駆動電圧の低減などの高性能化を実現した。
今回用いたトリプチセンの分子の末端基を設計することで、プラスチック表面にさまざまな機能を付加できるようになり、今後、高性能、高機能なフレキシブルデバイスの実現が期待されるという。