- 2018-6-24
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- Angewandte Chemie, カーボンエアロゲル, カーボンナノチューブ前駆体, グラフェン, スーパーキャパシター(二重電解層コンデンサー), ナノセルロース, 中国科学技術大学, 微孔性ヒドロゲル
中国科学技術大学の研究者達は、スーパーキャパシター(二重電解層コンデンサー)の電極材料に使うカーボンエアロゲルを木材から作る方法を発見し、ドイツ化学会誌『Angewandte Chemie』に発表した。スーパーキャパシターは短時間で充電できるため、次世代EVの蓄電方式として期待されている技術だ。
スーパーキャパシターの電極材には大きな表面積と良好な導電性が必要とされるが、1gあたり数100平方メートルの表面積を持つ超軽量導電性材料であるカーボンエアロゲルは有力な電極材になる。
ただし、グラフェンやカーボンナノチューブ前駆体を使ってカーボンエアロゲルを生産する方法には、コストが高くかつ環境負荷が高いという課題がある。そこで、中国科学技術大学の研究者達は、様々な前駆体を試し、その結果、安価で持続可能性のあるソースとして木材パルプを発見した。
研究者らは、木材由来のナノセルロースから微孔性ヒドロゲルを作り、これを有機酸触媒を用いて乾燥・熱分解することで、カーボンエアロゲルを作成した。この木材由来のカーボンエアロゲルは、スーパーキャパシターのバインダーフリー電極として良好に機能することが実証されたとしている。そしてこの研究は、高性能な電子デバイスにも使用できるサステナブルな材料を製造する有効な手法になるだろうと、その将来性への期待を表している。