- 2018-12-5
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- Ali Hajimiri, MEMSジャイロスコープ, Nature Photonics, カリフォルニア工科大学(Caltech), ポータブルデバイス, 光学式ジャイロスコープ, 機械式(振動型)ジャイロスコープ
カリフォルニア工科大学(Caltech)のエンジニアチームが、米粒よりも小さい世界最小の光学式ジャイロスコープを開発した。
スマートフォンなどのポータブルデバイスに搭載されているジャイロスコープは、振動子が回転している時に発生するコリオリの力を応用した機械式(振動型)ジャイロスコープが主流だ。MEMSジャイロスコープとも呼ばれ、小型化、大量生産に適しているが、角速度の測定精度には限界がある。
これに対し、慣性航法装置などに使われるジャイロスコープは、光のサニャック効果を応用した光学式ジャイロスコープ。周回状光路を逆方向に走った2つの光の位相差を測定することで、角速度を高精度に測定できる。
光学式ジャイロスコープは可動部がなく高い精度が得られるが、ナノフォトニクス・レベルまで小型化しようとすると、弱い信号強度のためにジャイロスコープが運動を検出することが難しくなる。今日利用可能な高性能光学式ジャイロスコープは、最も小さいものでもゴルフボールより大きいという。
CaltechのAli Hajimiri教授率いるエンジニアチームは、光導波管への熱ゆらぎ、光散乱などの影響を除き、システムのSN比を大幅に改善する方法を編み出した。これにより、これまでのものに比べ500分の1の大きさで、30分の1の位相変化を検出することができるという。デバイスの詳細は『Nature Photonics』誌の2018年11月号に掲載されている。
この光学式ジャイロスコープは、米粒より小さい素子に組み込むことができるという。将来、光学式ジャイロスコープを搭載し、GPSの電波が届かない所でも極めて高い精度で位置を知ることができるスマートフォンが登場するかもしれない。