核融合エネルギーの実験炉「WEST」で、プラズマを6分間維持する新記録を達成

Credit: CEA-IRFM

米国エネルギー省(DOE)は、2024年5月6日、フランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)が運営する核融合実験施設「WEST: tungsten (W) Environment in Steady-state Tokamak」を使用した成果として、プラズマの持続時間について新記録を発表した。

WESTは、トカマク型と呼ばれる核融合実験炉だ。トカマク炉は、高温のプラズマをドーナツ状の磁場に閉じ込めて核融合反応を起こす装置で、クリーンなエネルギー源として期待されている。

実用化に向けて安定した核融合反応を得るためには、高温で高密度のプラズマを長時間維持する技術が必要だ。WESTの前身機である「Tore Supra」は一定の成果を上げたが、炉の内壁の素材であったグラファイトが燃料を吸収してしまうという問題があった。

WESTでは、内壁の素材に燃料の吸収が少ないタングステンを使用した。ただし、この素材は、わずかな量でもプラズマ中に混入すると、エネルギーを放射してプラズマを急速に冷却してしまう。このため、高温かつ高密度のプラズマを維持することが格段に難しくなった。

実験は、米プリンストンプラズマ物理研究所(PPPL)によって実施された。WESTに1.15ギガジュールのエネルギーを注入し、摂氏約5000万度の高温プラズマを6分間維持することに成功した。この結果、従来と比べてエネルギー量が15%増加し、プラズマ密度が2倍に上昇した。

PPPLの研究チームは、この実験結果を測定するにあたり、スイスの電子機器メーカーDECTRISのマルチエネルギー軟X線検出器(ME-SXR)を改良し、WESTに組み込んだ。この装置によって、プラズマの電子温度や不純物密度などが測定された。

今回の実験記録は、核融合エネルギーの実用化に向けた重要な一歩と捉えられており、今後の研究に大きな期待が寄せられている。

関連情報

Fusion record set for tungsten tokamak WEST | Princeton Plasma Physics Laboratory

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