- 2019-2-11
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- GO粘土(GO dough), Jiaxing Huang, Nature Communications, グラフェン, ノースウエスタン大学, 工作粘土(Play dough), 酸化グラフェン(GO)
グラフェンに関する研究開発は世界各地で行われているが、米国イリノイ州のノースウエスタン大学の研究チームは、酸化グラフェン(GO)を柔らかく変形可能な工作粘土(Play dough)のようにすることに成功した。
この「GO粘土(GO dough)」と名付けられた物質で、自立する3次元形状を作ることができる。これで遊ぶのも楽しいかもしれないが、GO粘土はおもちゃ以上のものだ。この柔軟性のある材料は、グラフェン製造業者の抱える、爆発性などを含む長年の課題を解決することができる。
研究を指導したJiaxing Huang教授によれば、現在のところ、酸化グラフェンは可燃性と爆発性を有する乾燥した固体あるいは粉末として貯蔵されるか、あるいは、材料の質量の何百・何千倍もの希薄分散液にしなければならない。希薄分散液にするならば、5キログラムの酸化グラフェンが500リットルの希薄分散液になり、運ぶにはトラックが必要だ。しかし、GO粘土にすれば10キログラム程度の重さになり、手で運ぶことができる。
Huang教授のチームは、超高濃度の酸化グラフェンを水に加えることでGO粘土を作った。 結合添加剤を使っていないので、酸化グラフェンを元に戻す処理は必要ないという。またGO粘土は造形後に、導電性があり化学的に安定で機械的に硬度の高い固体に転換することができる。
研究成果は、オンライン科学ジャーナル『Nature Communications』に2019年1月24日付けで発表されている。Huang教授は、「工作粘土が幼い子どもの想像力を育むように、GO粘土がグラフェンベースの材料の新たな用途の開発に役立つことを望んでいる」と述べている。