富士キメラ総研は2019年4月2日、「コネクト」「自動運転」「シェア&サービス」「電気自動車」をキーワードに進展し、自動車の電装化を支えるシステムやデバイスなどの市場を調査し、その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2019《上巻:システム/デバイス編》」にまとめたと発表した。
同調査では、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系の車載電装システム計21品目と情報機器4品目の世界市場を国・地域別に調査・分析。また、それらを構成するデバイス&コンポーネンツ25品目の市場についても捉えた。
2018年の車載電装システムの世界市場は24兆781億円(前年比103.5%)の見込みだ。市場はこれからも堅調な拡大が期待されており、2030年には50兆円を超えると予想されている。分類別ではパワートレイン系が35%前後、情報通信系が25%弱を占めている。
今後は各国・地域でHV/PHV/EV/FCV系の搭載が増加することから、2030年には40%弱を占めるようになると予測。一方、パワートレイン系はアイドリングストップの48VマイルドHVへの置換が進むために長期的には縮小するという。
48VマイルドHVや自動運転・ドライバーモニタリングは現在の市場規模が小さいものの、2017年から2030年の年平均成長率が50%を超えると予想している。
国・地域別では現在は自動車生産台数の多いEUや中国・北米の市場規模が大きい。今後は中国やその他の国・地域が大きく伸び、特に中国は年平均成長率が10%程度の高い伸びが予想されている。
デバイス&コンポーネンツの世界市場は2018年は8兆7483億円(前年比106.8%)の見込み。現在はセンサーモジュールや小型モーターなどのセンサーモジュール/アクチュエーターが半分以上を占める。今後は環境対応車の普及に伴って、HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイスのウェイトが高くなる見通しだ。
富士キメラ総研は注目市場として、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転システムを挙げた。ADASはカメラやレーダーからのセンシング情報をドライバーに表示・警告、またはドライバーに代わって自動車を制御する安全支援システム。自動化レベルの定義では、レベル1「安全運転支援」とレベル2「部分的な自動化」にあたる。
ADAS搭載の義務化の流れが各国・地域で進み、市場は堅調に拡大。2020年代前半は日本や北米、EUを中心に衝突安全防止機能の採用が進むとみられ、2025年までに搭載率は生産車ベースで80%以上になると予想している。現状、中国市場は欧州や北米に比べると小規模だが、2021年頃から急激な需要増加が予想され、2030年までには最大規模の市場になるとみられる。また、センシングデバイスの低価格化により、新興国・地域でも簡易的なADASの採用が進むと期待される。
一方の自動運転システムは、センシングデバイスを用いて周辺環境の検知・認識し、自動制御する技術だ。自動化レベルの定義ではレベル3「条件付き自動化」、レベル4「高度な自動化」、レベル5「完全自動化」にあたる。
今のところ、一部の欧米系の自動車メーカーが自動運転車を発売している。システムの需要も各国・地域別ではEUが大半を占める。2020年には日系を含む複数の自動車メーカーがレベル3の自動運転車の投入を予定しており、各国・地域で市場は急成長すると予想している。
現在はシステムを構成する主要デバイスのレーザースキャナー(LIDAR)が高価格なため、自動運転システムは一部のハイエンド車のみに搭載されている。しかし、2021年頃からMEMS式などの安価なLIDARの採用が開始されることで低価格化とそれによる市場拡大が期待される。
2020年代はレベル3の運転システムが中心となり、レベル4や5のシステムの普及は2030年以降になる見込みだという。