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近年の日本では様々な職種で転職が行われますが、特に企業からの求人が多い職種の1つがエンジニアです。
エンジニアは、どのような理由があって転職を決意するのでしょうか。この記事では、エンジニアの転職事情から、転職する理由、面接で転職理由を説明する際のポイントについてまで解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
エンジニア転職の実情
厚生労働省のデータによると、平成27年10月1日時点で、会社に転職者がいる会社は実に35.7%となっています。また、産業別だと、転職者がいる会社の中でも情報通信業が48.7%と最も多くなっています。
このデータから、エンジニアに限った話ではなく、転職すること自体は今の時代において珍しくないことが伺えます。
※出典:厚生労働省「転職者実態調査」
さらには、エンジニアに関してはより売り手市場だと言えます。これは、どの企業もエンジニアが人材不足の状況にあるためです。
エンジニアが転職する理由
売り手市場となっているエンジニアですが、なぜエンジニアは転職するのでしょうか?続いては、エンジニアの転職理由について紹介します。
会社や業界の将来性に不安を感じる
エンジニアはIT業界に限らず様々な業界に存在している職種です。そのため、業界によってはその将来性に不安を感じ、別の業界への転職を検討する人もいます。
また、業界自体は問題なくても、自社の経営状況がよくないと感じ転職を決意するケースもあるでしょう。直接的な状況については確認できなくても業務量が減ってきた、継続案件がなくなったなどの変化を感じて、転職を意識するときもあります。
勤務時間・休日数に不満を感じる
近年、働き方改革が叫ばれていますが、いまだに勤務時間が多いエンジニア、休日出勤をせざるを得なくなるエンジニアも存在します。
これは、エンジニアは専門性の高い仕事であり、代わりがききにくいことが背景にあります。
何かトラブルがあったとしても、他の社員では対応できないため、休日であってもエンジニアが対応しなければいけないというケースもあるでしょう。
こういった背景から勤務時間が長くなり、休日が少なくなるなどから転職を考えるようになることもあります。
現在の給与や評価に納得がいかない
仕事に対する評価が適切に行われていないと感じると、転職を考えるようになります。
中でもIT系エンジニアは、個人で行う業務が多く、成果も目に見えてわかりやすいため、評価もある程度予想することができます。
しかし、成果を出しているにも関わらず、上司や会社からの評価が低いと不満を感じ、適正な評価をしてくれる場所を求めるようになります。評価は給料やボーナスにも影響する重要な要素なので、無視することができません。
職場の雰囲気や人間関係が悪い
仕事は1人で行うものではないため、職場の雰囲気が悪い、人間関係がギクシャクしている、上司とのそりが合わないなどの問題を抱えていると転職を考えるようになります。
人間関係が悪いと、仕事もスムーズに行うことが難しくなるため、必要以上の労力が必要になるケースもあるでしょう。
人間関係のせいで仕事に全力で取り組めないのであれば、転職は1つの選択肢となります。
今とは異なる環境でスキルアップをしたい
日々技術は進歩し、IT系エンジニアに求められる要素も日々変化していることを考えると、エンジニアにとってスキルアップを図ることは欠かせません。
しかし、今の会社だとスキルアップが図れそうにない、同じ仕事しか与えられずに成長を感じることができない、といった状況になるとスキルアップを目指して転職を考えるようになります。
また、不満はないが、スキルを磨き幅広い業務にチャレンジしたいといった理由から、転職を検討する人もいるでしょう。
フリーランスとして独立をしたい
IT系エンジニアは他の職種に比べて、独立してフリーランスとして活動することが容易だと言えます。パソコンがあれば、自宅で仕事を受けることができるため、独立にあたっての費用もそれほど必要ありません。
フリーランスであれば、仕事量の調整も可能であるため、プライベートと仕事のバランスをとりたいといった場合に会社を辞めることを考えます。企業から仕事を受注する他にも、自分でアプリを開発したり、メディア運営を行ったりすることもできます。
転職する理由を明確にする重要性
会社の将来が不安、勤務時間が長過ぎる、給与や評価に納得できない。ここまで見てきたように転職理由には様々なものがありますが、あなたが転職を考える理由は1つだけでしょうか。
転職したからといって、すべてが100点の職場は存在しないでしょう。「転職する前の会社の方がよかった」など、後悔することは避けたいものです。「○○に我慢できない!」と一番不満だった理由から別会社へ転職したとしても、2~3番目に不満を感じていた理由が解決されず、むしろもっと悪化してしまうケースも少なくないのです。
あなたがなぜ転職を検討しているのか。現状のどんな問題を解決したいのか。不満に感じている点のうち、どれは我慢できるのか。そこを1度整理した上で、転職先を探すようにすることが、転職を成功させるためには必要なのです。
また、転職活動をしていると、面接のときにかなりの高確率で質問されるのが転職理由です。「なぜこの人は、転職したいと思ったのだろうか」「転職してきて、同じように不満を感じて転職してしまわないだろうか」など、面接担当者にとって転職理由は必ず聞いておきたい情報なのです。
質問されたときに明確な回答ができるように、あなたの転職理由は何なのか、必ず事前に考えておきましょう。またその回答が面接担当者にとって納得できて「自社に転職してきても大丈夫だろう」と思わせる内容になっているように、吟味しておくようにしてください。
転職理由を考える際のコツ・注意点
ここでは、実際に転職希望の企業で面接されたときに、転職理由を聞かれることを想定して、転職理由を考える際のコツ・注意点について述べてみたいと思います。
1. 本当に転職する必要がある理由かどうかを考える
最初に考えなければいけないことは、その理由は本当に転職しなければ解決できないことなのかを考えることです。
今の会社で、自分の経験やスキルまたは知識を高めることで解決できないのか。社内の上司/先輩たちにあなたから働き掛けることで改善される問題ではないのか。1度、そこを考えてみてください。
今の会社、職場、業務内容に不満があったとしても、意外と社内で働き掛けてみると解決できることも多いです。また、そうしたステップを踏んだ上で転職しようと思ったと伝えた方が、転職先の心証も良くなるでしょう。働き掛けてみたり誰かに相談してみたりした上で、それでも解決/改善されるのが無理だと感じたら、転職を考えてみるのもいいと思います。
2. 転職理由をどう改善したいか、自分の考え/希望をセットにして考える
前述の「会社や業界の将来性に不安を感じる」「今とは異なる環境でスキルアップをしたい」といった理由から転職を考えているのなら、どんな業界や会社であれば将来性があると思うのか、自分はこれからどんな業務経験を積んで知識やスキルを高めていきたいのか、自分の考えを明確にしておく必要があります。
転職理由を質問して「何となく不安だから」「とにかく成長できないと感じたから」と答える候補者よりも、「この業界は○○の理由から成長すると思うから」「△△という技術に興味があり、貴社はその分野のトップランナーだから」といった回答ができる候補者の方が、面接の際には高く評価されるでしょう。
3. 話していい理由と、隠しておくべき理由を整理する
例えば、あなたが転職したい理由が「上司/同僚との良好な人間関係を築けなかったから」「毎月10時間残業していたが、残業はゼロにしたいから」とものだったら、面接担当者はどう思うでしょうか?
「人間関係が上手くいかなかったのなら、転職してきても職場になじめないのではないか」「確かに残業の少ない会社だが、場合によっては残業しなくてはいけないときもある」など、あなたの評価を下げる要因にもなりかねません。
この理由は話してもいい理由、この理由は隠しておくべき理由と、あなたなりに考えて転職活動前に整理しておいてください。
4. 話しやすい理由を考えておく
面接担当者などに「話してもいい理由」のうち、あなたにとって一番話しやすい理由はどれか、面接のときに話して評価されそうな理由は何か、絞り込んでおいた方がいいでしょう。
実は「年収を○○万円増やしたい」「残業時間を減らしたい」というのが一番大きな転職理由だったとしても、その理由を面接で話して高く評価してくれる企業は、それほど多くないと思います。
それよりも「現職での仕事を通じて△△という技術に興味を持つようになり、その分野についてより深く技術を磨ける会社に転職したいと思うようになった」といった理由を語った方が、面接時には評価される可能性が高いです。そうした話しやすい転職理由を考えておいた方がいいでしょう。
5. キャリアプランと合わせて考える
あなたを面接する担当者の中には、「この人は転職してきたら、この会社で長く働いてくれるだろうか」という視点を持って評価する人もいます。
あなたは将来、特定の専門技術に詳しいスペシャリストとして現場で働き続けたいのか。それとも、より上流の設計を担当したり、プロジェクト全体を管理するコンサルタントやマネージャーとして働きたいのか。どんなキャリアプランを思い描いているのか、明確にしておきましょう。
そして、そのキャリアプランと転職理由が噛み合っているか、転職希望の会社で実現できそうなのかと確認しておけば、面接で評価される確率を上げることができます。
6. 転職希望の会社で解決/改善できる理由か、確認しておく
転職理由が「今の会社の職場がギスギスしているので、フレンドリーな職場で働きたい」というものなのに、成果第一主義で競争の激しい会社へ転職を希望していたら、相手の面接担当者はどう思うでしょうか。
求人情報に書かれている情報がすべて正しいとは限りません。今の時代、企業の職場情報について口コミを集めた情報サイトもありますから、そうしたサイトもチェックしておきましょう。転職することで解決/改善できる転職理由になっているのか、事前に確認しておくことが大切です。
7. 会社ごとに使い分けられるように、いくつか考えておく
前のトピックで紹介したように、あなたが考えておいた転職理由が、希望する企業に転職しても解決/改善されないこともあるでしょう。
できれば主要な転職理由のすべてに関して、ある程度は解決/改善される企業に転職したいものです。ですが、「年収が非常に魅力的なので、残業時間の長さに目をつぶってでも転職したい」というケースなど、転職理由の1つが解決/改善されなくても転職したい企業もあるでしょう。
そのため、「この会社にはこの理由、あの会社にはあの理由で答える」といったように、会社ごとに転職理由を使い分けられるように、2~3つくらいは転職理由を考えておいた方が良いでしょう。
エンジニアが面接で転職理由を伝える際のポイント
様々な理由からエンジニアが転職を行うことになった場合、転職理由はどのように伝えればいいのでしょうか。ここでは3つのポイントを紹介します。
結論から伝える
転職理由を伝えるときは、まず結論をはっきりと伝えるようにしましょう。そして、その結論に対して、面接官から追加で質問がきたらさらに回答するのが基本的な姿勢です。
結論を伝える前段階が長いと、面接官は結局何が言いたいのか理解しづらくなります。一から十まで伝えるのではなく、一部(結論)を伝えた上で、面接官が興味を持ってきた部分に対して深く話していくようにしましょう。
前向きな転職理由を述べる
前職に不満を感じて転職する人もいるかもしれません。しかし、面接官に対しては前職の悪口を言うようなことはしてはいけません。
例えば、長時間労働に対する不満を面接で伝えたとしても、それは転職理由ではなく退職理由となってしまいます。これだと、面接官はどうしてうちの会社に入りたいのかが見えてこないため、採用に踏み切ることが難しくなってしまいます。
前職の不満を言うのではなく、この会社で何がしたいのか、自分の力がどう活かせるのかなど前向きな転職理由を述べるようにしましょう。
次の業務に対する意欲を伝える
意欲を伝えることは非常に重要です。例えばIT系エンジニアの場合、過去の経験などを伝え、自分を採用することでどういった貢献ができるのかを具体的に伝えることで、熱意をアピールすることができます。
そのとき、転職を希望する会社の事業やその業界の課題などと自身の専門性の関連について触れ、それがどう活かせるのか伝えるのも効果的だと言えます。
また、IT系エンジニアは技術力や知識のアップデートが必要になる職種なので、入社後もスキルの研鑽に取り組む旨を伝えるのも効果的です。
実際の転職理由
それでは実際にどのような理由で転職を考えるようになったのか、転職経験があるエンジニアに、それぞれの転職理由を聞いてみました。
管理職になって事務作業に時間が取られ、スキルアップが望めなくなった
昇進し、管理職になったことで現場でのスキルアップが望めなくなったため。もともと開発職を希望して入社し、新たな技術を身に付け、会社に貢献することで充実した生活を送っていました。
しかし、管理職になったことで事務作業に時間を取られ、スキルアップに割く時間が大幅に減ったことでストレスが溜まっていきました。上司と何度も面談し、待遇が下がっても良いので現場に戻してほしいことを伝えましたが、受け入れられなかったため退職を決意しました。
「受注する」側から「発注する」側になりたかった
大手システムインテグレーターの2次請け、3次請けとしてソフト開発(組込系メイン)に従事していましたが、ネットワークインテグレーターとして活躍すべく思い切って転職をしました。
これといって強みの無い会社では元請けの意向に左右されるケースが多く、急な仕様変更やスケジュール変更が横行していました。そのためプライベートが全く楽しめず、そのような生活に嫌気が差し、将来に不安を感じたため「仕事を受注する」側から「仕事を発注」する側になりたいと思い、転職先を選びました。
無理な仕事を請け負う会社で現場が大混乱
常に残業があり、生活に負担がかかったため、より良い職場環境を求めて転職しました。
前職では大手企業の下請け企業で流通システムの構築をしていましたが、自社がはじめから無理な条件で仕事を請負っていたため、現場は大変混乱していました。
転職先に選んだのはIT系ベンチャー企業でやはり大手企業の下請けでしたが、無理な価格競争をしておらず、できる範囲での作業内容だったことが魅力でした。
転職したことで残業がなくなり、時間の余裕を得られました。精神的にもとても良いです。
長時間残業が続き、体力の限界を感じた
何をやっても給料が上がらず、上司に嫌われていたという理由でまともな査定も受けられず、ボーナスは下がるばかり。昇給はスズメの涙、時間ばかりが過ぎてゆく。
残業時間が月80時間くらいコンスタントに続くようになってきたあたりで謎の残業規制ができて、金を払おうとする気が感じられませんでした。
ヒットポイントがゼロになる前にこの状況を脱却しなければならないと思い、転職しました。
収入が大きく違い、会社に属しているのが馬鹿馬鹿しくなった
SEやプログラマーとして業務システム開発にかかわることによって、ITスキルのみならず、様々な業界の知見を得たいと思って、IT系エンジニアになりました。
しかし、客先常駐型のSES契約で仕事をしていたため、会社への帰属意識というのは常に低い状態でした。現場にいると、他の会社などからヘッドハンティングを受けたり、フリーランスで働く人々と接したりする機会も多く、彼らと収入面でも大きな違いがあり、会社に属しているのが馬鹿馬鹿しくなってきました。
今はフリーランスとして独立し、自由に裁量ある仕事をしています。
常駐している客先の社員に不満
客先常駐(SES)系の会社に入社し、地方自治体のネットワーク監視業務を任されました。職場はプロパー社員が4名、私のように他社からSES契約を結んでいる方が3名所属している場所でした。
転職した主な理由として、監視業務が終わった後、午後から手が空いてしまう日が多く、プロパー社員から仕事を振られることがなかったため、転職に至りました。
また、監視業務は通常の始業時間より早く出社し、朝一から業務の準備を行わないといけないにもかかわらず、準備を行っている間の給与が発生しない点にも不満を覚えました。
まとめ
この記事ではIT系エンジニアの転職理由と転職理由を伝える際のポイントについて解説しました。
エンジニアは売り手市場となっているため、転職を考える人は多くいます。一方で、転職理由を伝えるときは、前職の不満ばかりを述べる、だらだらと長話をするといったことのないようにしましょう。
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