皮膚に貼って外部電源を使用せずにpH値を測る熱中症センサーを開発 東海大学

東海大学は2020年4月15日、マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)のガネシュ・クマール・マニ特定研究員と工学部精密工学科 教授の槌谷和義氏の研究グループが熱中症の予防や診断に活用できる画期的な熱中症センサーを開発したと発表した。直接皮膚に貼れ、pH値を外部電源を使用せずに測ることができる。

熱中症は体内の水分量が体温の上昇に伴って減り、めまいやけいれんなどを発症する病気で、脱水症状を起こすと汗のpH値が変化する。そこで、pH値を測るセンサーの開発が各地で進められているが、pH値を測るセンサーの電源が必要になったり、センサーが大型化するといった課題があった。

今回開発した物理センサーは、皮膚に直接貼ることができ、pH値を外部電源なしにリアルタイムで正確に測ることができる。アンチモンおよび三酸化アンチモン、ヨウ素酸銀を積層した2つの電極を手の甲に貼れるサイズの高分子超薄膜(ナノシート)上に取り付けており、電極間で生じる微弱な電位差を利用して計測する。

ナノシートは粘着剤などを一切使っていないため、肌に優しく、繰り返し使用できる。体に負担を与えず、子どもからお年寄りまで幅広く使えるという。また、構造が極めて簡単で低コストで作成できる。より多くのサンプルを集め、個人の体調や生活環境、人種などといったミクロな情報と環境要因の相関関係の分析が期待できる。

今後は、性能だけでなく、大量生産技術なども視野に入れて開発を進めていく他、湘南キャンパス内に設けた気象センサーや気象庁が発表するデータとも組み合わせて多角的に分析し、熱中症と環境要因、汗とpH値の関係を明らかにすることを目指す。

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