NASAの超音速実験機「X-59」、飛行に向けたテストが進む――商用超音速飛行を目指す

Lockheed Martin

アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年8月13日、超音速実験機「X-59」の飛行に向けた試験の一部を完了し、今後はエンジンの始動および地上での試験走行などへと進む予定だと発表した。

X-59は大きなソニックブームなしに音速よりも速く飛ぶことを目指す実験機だ。NASAのQuesst(静音超音速実験機)ミッションのために音響データを収集することを目的としている。将来的には陸地上空での商用超音速飛行を可能にするのが狙いだ。

NASAのX-59準備チームはこれまでに、地上での3つの重要な構造試験と検査を進めてきた。X-59は設計がユニークなため、胴体、翼、制御面が飛行中にどのように連動して動作するかなど、離陸前にあらゆる側面を予測しておかなければならないのだ。

2022年初頭、チームは飛行中に受ける力をX-59が吸収できるかを確認するための実証試験を実施した。2023年には、X-59の各部に振動装置を取りつけて振動に対する反応を評価した。2024年初めには、エルロン、フラップ、ラダーを含む制御面をコンピューターで動かす構造結合試験を行い、3つの重要な構造試験が完了した。さらに、射出座席を取り付けて検査に合格した。射出座席は、飛行中のあらゆる場面でパイロットの安全を確保するために不可欠な、さらなる安全対策だ。

X-59は今後、次のステップに進み、地上での一連の試験走行のためにエンジンを始動させる。また、航空電子機器と広範囲の配線に潜在的な電磁干渉がないか試験し、地上試験環境で飛行条件を模倣する。最終的に、初飛行前に滑走路を自力で移動し、地上での移動性を検証するタクシーテストを完了する予定だ。

関連情報

NASA’s X-59 Progresses Through Tests on the Path to Flight

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