サンケン電気は2020年5月20日、電源設計者向けにデジタル制御電源IC「MD6752」を開発し、GUIを備えた開発環境ツールとともに提供することを発表した。ブリッジレスPFC回路と電流共振コンバータ(LLC回路)による2コンバータ構成の高効率電源を1パッケージで制御できる。サンプルICの価格は500円。
MD6752は、電源システムの電力損失を低減し、小型化したデジタル制御電源ICとなる。電源基板サイズはAC-DCコンバータ回路を簡素化したことで10%小型化し、ヒートシンクはブリッジレスPFCの高効率化によって小型化した。また、高度な制御方式によってPFC回路のコストを削減した他、LLCの応答性も改善しているという。
パッケージには、SOP28パッケージを採用。内部は、ドライバICと論理制御ICからなる2チップで構成している。ドライバICは、パワーMOSFET駆動用の600V対応のゲートドライバと、高圧起動回路用900V耐圧FETなどを集積。論理制御ICは、CMOS回路と不揮発性メモリの混載プロセスを採用しているという。
ブリッジレスPFCと全波電流共振コンバータは、論理制御ICのPFC用16bitカウンタPWM出力とLLC用16bitカウンタPWM出力によって1パッケージで制御できる。
また、GUIを備えた開発環境ツールの活用により、電源試作期間を30%削減でき、開発リードタイムを大幅に短縮可能である。アナログ制御電源ICでは調整できないPFC回路、LLC回路のそれぞれの特性を変更できるPCアプリケーションである。GUI画面に入力するだけで、MD6752を電源システムにマッチングさせる制御プログラムを開発できるという。
MD6752を実装したサンプル基板の出荷は、2020年8月からを予定している。