- 2024-11-22
- 技術・スキル市場分析, 転職・キャリアアップ, 電気・電子系
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「電気エンジニア」は「電気・電子系エンジニア」とされることもあり、電気製品の回路設計と開発が主な仕事です。便利な電気製品を開発することで、多くの人の喜びや幸せにつながるやりがいのある仕事ですが、電気・電子の知識以外にも、繊細で地道な作業を続けられる忍耐力やコミュニケーションスキルなどが求められます。この記事では、電気エンジニアに向いている人の特徴や、電気エンジニアの将来性、キャリアパスなどについて解説します。
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電気エンジニアとして活躍する人の特徴
電気エンジニアとして働く場合、電気・電子の基礎知識の習得は大前提として、電気を使って動く機械に興味があり、電気製品を完成させることに喜びを感じられる人に適性があります。仕事の難易度は高く、結果が出るまで続く地道な作業はつらく感じるかもしれませんが、自分が関わった製品が評価され、便利な社会への貢献につながるやりがいのある仕事です。
また、専門性の高い仕事のため、最新技術やトレンドに関心を払い、学び続ける積極性も求められます。それ以外にも、身に付けておきたい3つの特徴を紹介します。
論理的思考力がある人
電気は目で直接見ることができない物理現象であるため、電気の特性に基づいた論理的思考により、その働きと効果を最大限に引き出す必要があります。また、開発する製品の仕様を満たすためにどのような回路を設計すべきか、回路に問題があった場合にはどのように修正すべきかを論理的に分析し、段階的に問題を解決していきます。電気・電子系の業務では、少しのミスが大きなトラブルの原因になる可能性があるため、あらゆる場面で論理的思考力が求められます。
細かい作業が得意で忍耐力がある人
電気エンジニアの仕事には、綿密な仕様書の作成や回路設計、繊細な部品を使った試作機の組み立てなど、多くの細かい作業があります。仕様書の作成には、製品全体の機能や詳細な仕様の決定、電子部品の選定などが含まれ、仕様の決定後は簡単に修正できないため、抜け漏れのないよう慎重に作業を進めます。
その後、CADツールを使って仕上げた回路図を基に試作機を製作し、評価実験をします。電気エンジニアには、これらの細かな作業に抵抗がなく、仕様を満たす結果が出るまで評価と修正を繰り返す忍耐力が求められます。
コミュニケーション能力がある人
電気エンジニアの仕事はチームで進行することが多く、それぞれが担当する業務を持ち、互いに協力しながら製品を作り上げていきます。製品によっては、ITや機械などを専門とする他分野のエンジニアがチームに加わることもあり、チームワークがうまく機能するかがプロジェクトを成功させる大きな要素になります。
そのため技術力が高くても、コミュニケーション能力が不足する人には難しい仕事でもあります。必ずしも話し上手である必要はなく、「報連相」(報告、連絡、相談)が的確にできるかが重要視されます。
電気エンジニアに求められるスキルと資格
電気エンジニアと混同されやすいソフトウェアエンジニアは、コンピューターのシステムや各種ソフトウェアの開発が主な仕事です。コンピューターのハードウェアを扱う電気エンジニアとは分野が異なりますが、お互いにとって不可欠な存在となります。
機械系エンジニアも混同されがちですが、各種生産装置や輸送機器、電気製品の機械部分の開発を担当し、機器の電子回路が使われる部分を担当する電気エンジニアとは明確に異なり、それぞれのエンジニアには、分野の異なるスキルや資格が必要になります。
電気エンジニアには、電気工学や電子工学に関する専門的な知識が必須とされ、さらに修士課程を修了することで就職や転職市場での価値を高められます。また、仕事に就きながらも業務に関わる資格を取得することで、昇進や待遇改善、希望する部署や勤務地への異動などが可能になります。
必須スキル〜専門的な知識と知見〜
電気エンジニアにとって必須となるのが、電気工学や電子工学に関する専門的な知識です。近年では、修士課程を取得しているかどうかを重視する企業が増えており、エンジニアリングの修士課程プログラムを修了することで、希望する企業への就職や転職の成功確率を高めることができます。
電気工学の修士課程では、複雑なプロジェクトを担当することで、さまざまな分野や目的を持つチームを管理する訓練を積みます。質の高いプログラムでは、最先端のツールを使用した実践的な経験、および実践的なアプリケーションの機会が得られるため、工学、科学、数学のスキルだけでなく、実社会で役に立つ知識が身に付きます。
キャリアアップに必要なスキル〜最新技術を学ぶ姿勢〜
電気エンジニアに求められる専門知識と実務経験はレベルが高く、未経験で採用されるのは難しい職種だと言えます。そのため、大学や高等専門学校(高専)などで電気関連の知識を学んだ新卒者や若者が、育成を前提に採用された場合、実務経験を積みどれだけスキルを高められるかが、その後のキャリアアップにとって重要になります。
電気・電子分野の技術はめざましい進歩を遂げており、現状のスキルがすぐに役に立たなくなる可能性があります。日常業務の合間や休日に専門誌を読み、セミナーに参加するなどで積極的に最新知識に触れ、学ぶ努力を惜しまないようにしましょう。
取得したい資格〜E検定(電気・電子系技術検定試験)〜
電気エンジニアは専門性が高い職業でありながら、業務において必須となる資格はありません。しかし、即戦力を採用したい企業が知識レベルを確認する場合など、資格の取得が有利に働くことがあります。
電気・電子系技術者育成協議会が主催する「E検定」(電気・電子系技術検定試験)は、若手から中堅エンジニアまでを対象とし、電気エンジニアのスキルや幅広い知識を測定する試験です。全分野試験、基本分野試験、レベル1試験の3区分があり、全分野試験では電気・電子回路、半導体、コンピューター、設計・測定など、エレクトロニクスに関わる広い範囲で技術の測定を相対評価します。
他にも業務には直接関係ありませんが、電気設備の工事や保守ができる「電気工事士」や「電気主任技術者」などの国家資格があり、取得しておくと就職や転職の際のアピールになるでしょう。
電気エンジニアの今後
スマートフォンやタブレットをはじめ、インターネット接続機能を搭載した家電の普及が急速に進み、私たちの生活に欠かせないものとなっています。スマートデバイスだけでなく、生産装置や自動車、航空宇宙機器など、あらゆる製品には電気・電子回路が組み込まれており、電気エンジニアはさまざまな業界の開発現場で必要とされています。特に今後の成長が見込まれるロボットやAI、5G(第5世代移動通信システム)の分野に精通した電気エンジニアへの需要が高まると予測されます。
近年の傾向として製品のデジタル化が進んでおり、従来のアナログ機器にも電子回路が使用されるケースが増えています。また、電気・電子製品の用途の多様化、高機能化、高付加価値化も加速しており、メーカー間での開発競争が今後も激しさを増すことから、高度な設計、開発能力を持つ電気エンジニアへの需要は増加する見込みです。
AIが業務の一部を自動化するほどの進歩を見せていますが、電気エンジニアの業務は専門性が高いためAIに代替えできない部分が多く、すぐに仕事をAIに奪われる心配はなさそうです。
電気エンジニアのキャリアパスの具体例
電気エンジニアになる一般的な方法は、工業高校や専門学校、大学などで電気・電子の知識を学んだ学生が、各種メーカーに就職するコースです。初級エンジニアとして入社してからは、先輩エンジニアにサポートされながら仕事の基礎を学びます。基礎の経験を積んでからは設計・開発エンジニアとなり、設計、シミュレーション、評価、プロトタイプ開発などに当たります。その後もさまざまなプロジェクトに参加し、幅広い業務を経験することでスキルアップしていきます。
上級エンジニアになると、より複雑で難易度の高いプロジェクトや技術的チャレンジにも携わり、若手エンジニアの指導も担当します。その後は専門性を高めてスペシャリストを目指すか、プロジェクトリーダー・マネージャーなどの管理職へのキャリアアップ、もしくは経営・コンサルタントへ転身するといったキャリアパスがあります。
プロジェクトリーダー・マネージャー
複数のプロジェクトに参加した経験のある電気エンジニアには、プロジェクトの進行やメンバー管理などを担う、プロジェクトリーダーの道が開けます。プロジェクトリーダーは、トラブル発生時に率先して対応策の立案やフォローに入り、納期遅れが生じないようスケジュールの厳守に努めます。チームメンバーの全員が力を発揮できるよう士気を高く保つなど、強いリーダーシップが求められます。
現場を管理するプロジェクトリーダーに対し、プロジェクトの立ち上げから人員、予算、スケジュールの決定など、プロジェクト全体を統括するのがプロジェクトマネージャーです。どちらの職種も、課題解決力や統率力、コミュニケーションスキルが必要とされ、経験を積むことで管理職としてのキャリアを高められます。
経営・コンサルタント
40歳以降のキャリアパスを考えると、経営やコンサルタントも選択肢に入れ、早い段階から準備を進めるのが理想的です。電気エンジニアとして十分な実務を積んだ後は、後輩に仕事を教えたり、プロジェクトの運営に関わったりするなど、管理職の仕事を徐々に取り入れてマネジメントスキルを高めます。プロジェクトリーダー・マネージャーに就く場合は、顧客折衝やヒアリング能力、課題解決力など、コミュニケーション力の向上に努めます。
リーダーやマネージャーとして成果をあげ、昇進を重ねることで経営への加入の可能性が大きくなります。経営者の意思決定に近い環境に身を置くことが大切で、新規事業への投資や撤退などの重要な決定のプロセスに触れることで、経営者の資質を身に付けます。現状での経営入りが困難な場合は、コンサルタントに転身して顧客の経営に直接かかわる経験を積み、改めて経営者を目指すキャリアパスが有効になります。
エンジニアの転職なら「メイテックネクスト」
電気エンジニアの需要は高いとはいえ、企業が求める技術レベルに達していないと判断されれば、採用を見送られます。また、回路設計経験のあるエンジニアを求める企業があったとしても、デジタル回路やアナログ回路以外にも、高電圧、高電流の変電設備の回路、微弱な電流を扱うセンサー製品の回路など多岐にわたり、必要とされる技術要素も異なります。このように、自身の経験が企業の求める経験に合致するかは個人で判断するのは難しいため、転職エージェントへ相談することが成功への近道になります。
転職エージェントのメイテックネクストは、エンジニアに特化した転職支援サービスを提供しており、相談者のスキルを客観的に評価し、もっとも適した仕事が何かを導きます。独占求人を含めた豊富な情報を保有し、エンジニア出身の高い専門性を持つコンサルタントによる、各企業の内情を踏まえたアドバイスが可能です。転職希望者と企業側のミスマッチを埋め、選考の通過から採用まで責任を持ってサポートします。
まとめ
AIや5G通信機能など、新技術を搭載した電気製品や自動車などの開発競争が続いており、電気エンジニアを求める企業は今後も増えることが予想されます。電気・電子の知識のある新卒者や実務経験者にとって、電気エンジニアは将来性のある仕事に見えるかもしれません。確かにその通りですが、キャリアを築いていける高度な知識と適性があるかを見極める必要があります。
企業から必要とされるのは、電気・電子の知識はもちろんのこと、次々に登場する最先端技術への探求心や、地道な仕事を続けられる忍耐力です。着実に実務経験を重ねることができれば、マネジメントやコミュニケーションスキルを高めることで、経営に直接かかわる役職へのキャリアパスも描ける夢のある仕事でもあります。この記事を読んで興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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ライタープロフィール
fabcross for エンジニア 編集部
現役エンジニアやエンジニアを目指す学生の皆さんに向けて、日々の業務やキャリア形成に役立つ情報をお届けします。