米空軍、AI搭載ドローン「Skyborg」のプロトタイプ案コンペティションを公告

米空軍研究所(AFRL)は、2020年5月15日、「Skyborg」のプロトタイプ製造に向け、プロトタイプ案コンペティションを公告した。提出期限は2020年6月15日午後3時(米国東部標準時)で、2020年7月18日に選出結果が発表される。米空軍は、プロトタイプ製造に総額4億ドル(約440億円)を投じる予定だという。

Skyborgプログラムとは、AFRLの戦略開発計画実験部門(SDPE)が、2023年をめどにAIを搭載した無人自律飛行戦闘機の配備を計画したプログラムだ。2018年10月に正式に企画され、先進的プログラムとして2019年度予算に計上された。SDPEは、2019年3月にSkyborgプログラムの要件を満たすような高度な技術成熟度レベル(TRL)の性能を有し、現在市販されている物があるかを知るため、市場調査とSkyborgプログラムの運用コンセプト分析を実施するための性能に関する情報提供依頼書(CRFI)を業界に向けて出しており、その後、計画が着実に進んだ結果、今回のコンペティションに至るようだ。

AFRLのエンジニアであるMatt Duquette氏は、既に無人航空機(UAV)制御、自律性、そしてUAVのモデリングやシミュレーションに取り組んでいるという。また、Duquette氏は「Skyborgは、領空内で飛行させる比較的シンプルなアルゴリズムから、ミッションのメインタスクやサブタスクを完遂する複雑なレベルのAI導入まで可能にするようなAI技術を搭載する飛行体です」と語っている。これまでにAFRLが行ってきた「Have Raider」実験や自動衝突回避システムなどの開発プログラムで明らかにした多くのAI研究に基づいてSkyborgプログラムの開発は進められている。

米空軍によると、Skyborgは一群のドローンを想定しており、機体はそれぞれ特定のミッションのために設計される。モジュール化したハードウェアとソフトウェアを搭載し、共通のAIを載せるので、ソフトウェアアップデートもまとめて迅速に行えるようにするという。

Skyborgは、将来は有人戦闘機と組んで利用することも計画されており、無人偵察機としての利用や、有人戦闘機に代わってSkyborgが攻撃を受けるなどの案が検討されているようだ。

米空軍は、2021年度予算にSkyborgを含む3つのプログラムに総額1億5760万ドル(約170億円)の予算を計上する予定で、Skyborgプログラムには追加で2500万ドル(約27億円)割り当てられることから、多くの企業がSkyborgのプロトタイプ案を提出すると予想されている。

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