Airbus、完全自律型空中給油システムの飛行試験を実施――複数の無人ドローンを制御

欧州の宇宙航空企業Airbusは2023年11月24日、完全自律型空中給油システム「Auto’Mate」の2回目の飛行試験を実施したと発表した。

現在利用されている空中給油の手順では、空中給油機のクルーと給油を受ける航空機のパイロットとの間で、厳密で正確な同調が必要とされる。Airbusはこのプロセスに自律技術を適用、人間の介入を必要としない空中給油を目指す。

Airbusは昨年3月に、同社のテストベッドタンカー機と4機の無人ドローンを使用したAuto’Mateの実証に成功した。この度行われた2回目の飛行試験では、Auto’Mate実証機であるA310 多目的タンカー輸送(MRTT)機が、その制御下にある5機の無人ドローン(Airbus DT-25、うち2機はデジタルツイン)とともに飛行し、高度なAIベースの相対航行および協調制御技術を使用して給油作業をシミュレート。自律型アセット空中給油(Autonomous Assets Air to Air Refuelling:A4R)運用の可能性を示した。

Airbusでは、「ナビゲーション」「通信」「制御」という、3つの主要な技術基盤に焦点を当てている。「ナビゲーション」では、さまざまな種類のカメラ、高精度衛星全地球測位、LiDARセンサーを使用し、AIやセンサーフュージョンアルゴリズムと組み合わせることで、非常に高い位置精度を可能にした。「通信」では、給油を受ける複数の航空機を誘導するために、機密性が高く安全なマルチノード通信システムをテストしている。「制御」においては、自律制御システムが重要な飛行パラメーターを管理し、協調性を保証、衝突回避機能を組み込んだ、安全で効率的な運用を主導していく。

Airbusは、空中給油に自律技術を適用することで、安全性、信頼性、効率性が向上するとしている。さらに、非常に視界の悪い状況下での燃料補給などのオペレーションをより効果的に実施できる可能性がある、クルーの訓練コストを削減できる、といった利点が挙げられる。また、Auto’Mate技術は、ドローンなどの非パイロット型戦闘航空機の空中給油への道を開くという。

関連情報

Aerial refuelling without human intervention | Airbus

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る