レーザー発振も可能な高性能ナノスケールLEDを開発

Credit: B. Nikoobakht, N. Hanacek/NIST

アメリカ国立標準技術研究所(NIST)を中心とする研究チームは、従来のサブミクロンサイズの発光ダイオード(LED)と比較して輝度が100~1000倍向上し、レーザー発振も可能なナノスケールLEDを開発した。研究成果は、『Science Advances』誌に、2020年8月14日付で公開されている。

LEDは何十年も前に発明され、青色LEDや白色LEDの実現以来、照明を含むさまざまな分野で応用され、さらなる研究が行われている。しかし、LEDにはチップへの電流量を増やすと発光効率が低下してしまう「ドループ現象」と呼ばれる問題がある。

今回研究チームが開発したLEDは、従来と同じ材料を用いているが形状に特徴がある。開発したLEDは、これまでのフラットなデザインのLEDとは異なり、フィンと名付けた細く薄い酸化亜鉛の構成物からできており、長さ約5μmのフィンが、1cm幅の中に櫛(くし)の歯のように配列されている。

当初研究チームはドループ現象の課題解決のために新しいLEDを設計したのではなく、ラボオンチップ技術のような小さいアプリケーションで使用するための極小LEDを作製しようとしていた。

新しく開発したLEDは、紫色と紫外線をまたぐ波長で発光する。面積1μm2未満の典型的な小型LEDが約22nWの電力で光るのに対し、このLEDは20μWまで出力できる。「より明るい光源を作るために、LEDの発光効率低下の問題を克服できることが示唆される」と、新LEDのデザインを考案したNISTのNikoobakht氏は言う。

さらに、電流を増加すると、比較的広い波長の範囲で輝いていた発光が、最終的に2つの紫色の波長の間まで狭まることが明らかとなった。つまり、このナノスケールLEDは、レーザー発振するレーザーダイオードとしても機能すると言える。通常、LEDをレーザーダイオードとするには共振空洞を設ける必要があるが、フィンLEDにはそれが不要だ。

新しいLEDのデザインは、LEDに発光効率に関する長年の課題を解決する可能性があると言えるだろう。

関連リンク

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る