立命館大学は2020年11月19日、電磁波をエネルギー源とする電磁波無線給電の受電機構成として、直径4.5mmの極小ボタン型整流器モジュールボード(以下、モジュールボード)を作製したと発表した。同モジュールボードでは、通常の縫い針で糸と基板を結ぶだけで電気的接続が可能になるという。
金属アンテナを整流回路基板に接続するには、一般的にはんだ付けが必要となる。しかし、これまでの技術ではアンテナ用の導電糸をはんだ付けしようとすると燃えてしまうため、今回のモジュールボードを開発した。
モジュールボードの両サイドには、メッキされたボタン穴があり、糸と基板を通常の縫い針で結ぶだけで電気的接続が可能になる。モジュールボードは、整流器、LED、マッチング回路で構成されているが、糸に沿って動かすことができるため、アンテナと整流回路のマッチングも容易だ。
このモジュールボードでは、これらの新しい技術により、誰でも簡単に無線給電のレクテナ(マイクロ波を直流電流に整流変換するアンテナ)を作れる。ミサンガや衣服、靴下などの刺繍、手ぬぐいやスカーフなどの装飾部分に、このレクテナを用いてLEDを取り付け、同時に点灯させることもできる。
マネキンに取り付けたLED付きミサンガや刺繍模様付き靴下でのモジュールボードの最大点灯距離は、送電機から平均電力1Wの電力を送電した場合に50cm、人装着した際は30cmとなる。最大点灯距離については、今後、改良を重ねて伸ばしていく予定だという。
立命館大学は、今回作製したモジュールボードは今後、日本の伝統工芸品とのコラボレーションや、アパレル・エンターテイメント業界の展示企画などへの活用が期待できるとしている。