DNAナノテクノロジーを活用して医薬品開発を大幅に加速させる新技術

南デンマーク大学(SDU)の研究チームは、2022年4月5日、ワクチンや医薬品の開発スピードを100万倍以上速めることができる新たな技術を開発したと発表した。「SPARCLD (Single PARticle Combinatorial Lipidic nanocontainer fusion based on DNA mediated fusion)」と名付けられたこの新技術では、DNAナノテクノロジーを駆使し、ピンの頭より狭いエリアの中で4万種類以上の分子を合成したり分析したりできる。この研究はSDUとコペンハーゲン大学が共同で実施し、その成果は学術誌『Nature Chemistry』に2022年4月4日付で掲載された。

新しいワクチンなどの医薬品を探すため、何千もの候補分子が日常的にスキャンされているが、今回開発された技術はナノスケールでの実行を可能にし、材料やエネルギーの使用を最小限に抑えられる。

この技術ではせっけんのような泡をナノコンテナとして用い、コンテナ内で複数の成分を混ぜられる。SDUのチームリーダーであるStefan Vogel准教授によると、消費者製品に用いられているバーコードに似たDNAバーコードを使い、全ての化合物や試薬、数千もの超小型ナノリアクターの中で並行して実行される化学反応を識別し追跡するという。

製薬会社がこの技術を活用すれば、ワクチンや医薬品開発にかかるエネルギー、経済的コストなどを大幅に減らせる見込みだ。

研究チームを率いたコペンハーゲン大学のNikos Hatzakis准教授は、新技術導入による削減効果を、エベレスト山の全質量に相当する物質をテストするために、全海洋の海水全量を使う代わりに水1Lと物質1kgを使うだけで済むようなものだと例えている。

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