- 2020-12-3
- 制御・IT系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Giuseppe Fiengo, Venezia Nuova Consortium, ベネチア, モーゼシステム, 浸水被害, 潟(lagoon)
ベネチアは、潮汐の影響で頻繁に浸水被害に見舞われる都市だ。こうした浸水被害を防ぐべく、高潮の際に潟(lagoon)を海から一時的に分離して水位の上昇を抑える「モーゼシステム」の開発プロジェクトが進められている。
同プロジェクトを主導するVenezia Nuova Consortiumは、2020年10月3日に初となる海面上昇時のテストを実施し、モーゼシステムが機能することを示した。2003年に開発が開始されたモーゼシステムは、計画から大幅に遅れつつもようやく最終段階にたどり着いたかたちだ。
モーゼシステムでは、コンピューターシステムの支援を受けたオペレーターが、可動式水門を操作する。ベネチアにある3つの潟の入り口に設置された水門は、78枚の壁が独立して動き、最大3mまでの潮位変化に対応可能だ。これは今後100年で見込まれる海面上昇の影響も織り込まれているという。テスト時の潮位は125cmと予想されていたが、モーゼシステムが起動したことで水面上昇は約70cmに抑えられた。
今回のテストは成功したものの、ヴェネツィア・ヌオーヴァ・コンソーシアムの管理者Giuseppe Fiengo氏によれば、モーゼシステムの本格稼働に向けては、さらなる技術開発及び安全性の評価、保守・管理計画の作成などが必要とのことだ。