スマートデバイス向け自己修復型フィルムを開発――何度亀裂が入っても元通り

台湾の国立成功大学(National Cheng Kung University)の研究チームは、手に入りやすく環境に優しいゼラチンをベースとして、自己修復する電子デバイス用フィルムを開発した。自己修復ゼラチンを組み込んだ抵抗変化型メモリ(RRAM)は、何度損傷を受けてもメモリ特性を失うことがなかった。研究結果は、2020年11月4日付けの『ACS Applied Polymer Materials』に掲載されている。

携帯型のスマート端末の需要は急激に高まっているが、壊れやすいものも多い。落として画面にヒビが入るだけならまだ良いが、内部の電子部品が破損して全く使えなくなる場合もある。

今回研究チームは、ゼラチンとグルコースを混合させたフレキシブルフィルムを開発し、繰り返し自己修復する機能を持たせることに成功した。新素材を使ってフレキシブルRRAMを作製し、曲げて亀裂を入れたところ、室温では3時間以内、60℃に加熱した場合10分以内で自己修復を完了した。グルコースと混合したのがポイントのようで、ゼラチンだけで作成したフィルムの場合は、自己修復機能は見られなかったという。

これまでの自己修復素材とは異なり、損傷と修復の繰り返しにも耐えられる点が特長だ。さらに、今回作製したデバイスは自己修復プロセス後に性能を損なわないばかりか、損傷前よりもオンオフ比が高くなり、電気特性の向上を示していた。

耐久性の高いタッチスクリーンやフレキシブルディスプレイといった電子デバイスから、ロボット工学や医療分野でも利用できると期待される。

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